FC2ブログ

スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

麗しき人の夢⑪

マロの妨害のような甘え方を鬱陶しさ半分、微笑ましさ半分で凌ぎながらキーをタイプし続ける。9月ごろから私生活では執筆活動がウエイトを占め始めている。いきなり長編は難しいので何話かに分けて長めの作品を書いてみようと思い立って10月の半ばにはぼちぼち話が膨らんできたところである。誰かに感想を聞いてみたいと思う気持から友人Oに教えてもらった小説投稿サイトに登録してシリーズ物として一話が完成するごとにアップロードしていくという作業を繰り返してみたところ、思いのほか反応はあるようでモチベーションが上がった。


地元ネタを取り入れたちょっとライトノベル寄りの作品にしようと思って設定を考えたのだが、書いていて「そもそもライトノベルとは何ぞや?」と悩みそうになっていったので、あまり気にしないでストーリーを続けてゆく事にした。好きな漫画や小説の登場人物のオマージュが入っているファンタジーで、「猫が人間に変身する」という分かり易い設定から意外と予想しない方向にアイディアが膨らんでいったので自分でも面白かった。


ネット上でのやり取りのメリットを最大限に活かして、休日などに二人の友人に少し読んでもらったりしていたけれど、反応はまあまあ良いような気がする。


『なんか俺も書きたくなってきてさ、大学のサークルの事とかを題材にした作品とか考えてる』


リアルではなかなか会う機会のない友人Kもそんなノリで同じように作品を書き始めて公開し始めた。何となくお互いの作品でやり取りをしている感覚になる。作家という夢にはほど遠いのかも知れないが良い作品にしようという気持ちは結構あって、日常生活でも作品の事を意識しながらメモを取ったりし始めている。女性とその飼い猫を主人公にしているのでなんとなく物の見え方が違って感じられる。


「猫」の観察についてはお手の物である。「マロ」と一緒に生活しているだけでも無意識に色んな事を見ているんだなと実感する。語る事によって意識されるようになるという側面もあって、本来自分はそういう事が好きだから小説を書いているのかも知れない。



「ふう…」


画面に集中し過ぎてマロが落ち着かなくなったのに気付いて一旦目線を意図的に逸らす。何となく窓の外を見たのだが、秋晴れの過ごし易い日に外に出ないのも勿体ないなと思い、マロと一緒に庭に出ることに決めた。椅子から立ちあがって「外でるよ」と言った事でマロはなんとなく察したようで、何となく弾んだ歩様で玄関まで着いてきた。


「よし、出ろ!!」



玄関の扉を開けて飛び出してゆくマロ。時々近くの野良がやってくる事もあるので予め周りをぐるりと歩いて安全な事を確認する。日向ぼっこが好きなマロはしばらく玄関の近くでゴロンと横になって嬉しそうに喉をゴロゴロと鳴らしていた。こういう様子を見ていると、小説の事ばかり考えていてはいけないなと思う。なんとなく近くに腰を降ろして毛並みを確かめるように撫でてやる。


<確かにこういう生活に憧れてたんだよな…>



猫が飼いたかった子供の頃。飼ってみて大変な事もいくつかあったけれど、飼ってゆくうちにそれも当たり前だと思えてくる。愛情が芽生えてゆくという事はこういう事なのだ。5分くらいそのままボーっとしていたろうか、マロが突然きっとした表情になって少し警戒し始めた。足跡が聞こえてくるのでどうやら誰かが庭に入ってきたようである。


「どうも、回覧板です」


「あ、これはどうも」



お隣さんからの回覧板だった。マロは他の人に慣れていないので私の後ろに隠れてしまったが、「大丈夫だよ」と言って抱きかかえる。お隣さんは穏やかな雰囲気のおばあさんで、どうやら猫が好きらしく、


「あら~かわいいネコちゃん」


とちょっとテンションが高くなった。それほど近所づきあいがあるというわけではないけれど朝のゴミ出しなんかをしていて出会うと挨拶はする。マロは少し戸惑いながらもおばあさんの愛撫を受けて目を細めている。



「わたしも猫飼いたいんだけどねぇ…」



彼女がそう洩らした時、その言葉には様々な事情があるんだろうなと感じられた。こういうのは一つは縁のようなものである。もしかするとご近所さんの縁も然りなのかも知れない。会釈をしておばあさんを玄関から見送る。


『夢で出てくる人はやはり何らかの意味で自分と縁がある人なのだろうか』


あのエッセーにもそんな一文があったと思う。自分にとってその人に何かの感情が伴い、その人の人生に関わっていると思っている、或いはその人が自分の人生に関わっていると感じる。だからこそ自分の夢に出てくるのだろう。



漠然とだがそういう「縁」も小説では考えてゆく必要があるなと感じた。物語が進んで分かる意外な「縁」も何か運命めいていて面白いなと思う。


「あ…そうか。あの人と「縁」のある人をもう一人の主人公にすればいいのか…」



我ながら良いアイディアで、同じ作品世界で違うところから世界を観ている人物の物語を同時に書いていけば良いと思った。いわゆるスピンオフのような…


「でも俺に書けるかな…」



湧きあがるイメージとは対照的に力量不足を痛感している今。マロは抱きかかえられているのが嫌になってきたのか、身をよじりはじめていた。
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

二人の管理人

Author:二人の管理人
ブログには珍しく二人の管理人で更新してゆくブログです。

二本松のこと、競馬のこと、これから手探りで何かを
やってゆこうと思っています。




最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ただのカウンター
フリーエリア
投票
google+
プロフィール
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR