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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

麗しき人の夢 ⑨-3

O君は駅付近の居酒屋を予約してくれていた。K君と二人で先に入店して4人用の席に案内してもらった。着席した頃にO君から、


『そろそろ着く』


と連絡があった。改まってK君と向き合うと表情がよく見える。にこやかでいかにも嬉しそうな顔を見ていると、ああ今日来て良かったなと思う。私もそんな表情をしているに違いない。K君の方から、


「今そっちはどんな感じ?」


と訊ねられた。私は自分の生活と仕事の事などを説明する。話していると相槌を打ってくれるのだが、何か昔は口下手だった印象があるけれどこなれている感じがあって、やっぱり社会人的な部分が見える。


「そっちは?」


私も訊ねてみると、事務系の私とは違って営業職で大分ブラックな感じが漂う職場での生々しい話が聞けて若干戦慄した。そういう環境にあると自然と変わってきてしまうものだろうか。自分の経験にはない事なのでなんと答えたものか躊躇っていると満を持して(?)O君が到着した。


「おお!O!!うわ~!!」


「よう!」


対照的な二人。K君は感極まる感じで嬉しそうにO君の身体を触り、O君の方は見た感じはクールにそれでもやはり嬉しそうな表情でK君を見ている。この3人が揃うとすっかり中学時代の「ノリ」に戻ってしまう。


「とりあえず生にしようか」


というと二人とも賛成した。ビールが運ばれてきて乾杯をして会話がどんどん進む。


「Oはいまどんな感じなの?」


「まあぼちぼちだね」


「彼はもう競馬狂の『競馬狂太』になったしまったよ」


私が言った『競馬狂太』とは実はK君が中学時代に競馬に関しては早熟だった私につけたあだ名であり、それは呆れ気味にそう名付けたのだろうが二人ともそれを覚えていたようで、


「うん。競馬狂太を襲名しました」


とにやけながら言うO君と、


「懐かしいなぁ~」


と相変わらずのノリで応えてくれるK君に頼もしさを感じた。それから競馬の話題がしばらく続いて、当時から巻き込まれたカタチで我々の競馬の話題を聴いていたK君はやはり同じように競馬の話を傾聴している。


「すっげぇな。二人とも。俺は最近全然見てなくて」


何処となく寂しそうな表情を浮かべたのだが私はN県に在住という事を思い出して、


「N県の競馬場行けばいいんだよ!!」


と提案してみる。


「あ、そういやそうだな。でも住んでる所からは結構遠いんだよなぁ~」


話を聞いてみると住んでいるところは内地の方で競馬場は海側の方らしかった。なるほど地理の勉強になるなと思っていると、


「俺もまた競馬見てみよっかなぁ」


というなかなか良い反応。これからやり取りする中で共通の話題があるというのは結構良い事だと思う。それから再びスマホのゲームの話題になる。O君が何気なくスマホを確認した時にその話題になったのである。3人の中ではO君が一番進捗していた。自分も結構歩いているつもりだったが、仕事がら市内に居る事が多いO君と外れの方を動くことが多い自分とではモンスターの出現率などが違うらしい。このゲームの直撃世代でもある3人は次第に昔話に花が咲き始める。



中学時代の事は今でも夢によく見る。あのエッセーの中でもこんな一節がある。


『結局夢というのはどうあっても現実よりも辛いという事は稀だと思われる。何処かしら甘い部分と雑な部分があって人間の性質上夢の中でも現実の実際の苦しみを味わうという事はしたくはないのかも知れない。だからだろう学生時代の友人と過ごしている夢は、厳しい現実よりも幾らか穏やかな時間が流れている』


それを少し思い出しながら私はこんな風に言った。


「中学校時代の夢を結構見るんだけど、なんか当時のままの顔だったりするんだよ。うん、やっぱり大人になったね」


「そうだなぁ…」


一同しみじみと頷きあっている。するとここで、


「そういえば二人ともなんか最近ネットでやりとりしてるんでしょ?」


と先ほどK君に言いかけた事を思い出したのかツイッターの話題になった。「簡単だから」と前置きしたうえでK君にも勧めてみる。


「え、どうやんの?」


戸惑いながらもO君が丁寧に説明してくれて何とか設定ができた模様。試しにDMを送ってみて、


「おお、これだといいな。ありがとう」


と嬉しそうな様子。3人で情報を確認し合いながらやり取りできるツールは他にもあるけれどツイッターの方がいろいろ便利だと感じる。これからもこんな感じでやりとりしていけば集まり易くなるかもと思ったりした。


「二人はなんか他にもやってたりするの?」


この質問に、私は少し迷ったが創作の事を話した。大学時代も連絡はあったけれどその当時からちょこっとネットで短めの文章をアップロードしたりした経験から少し『作家』という夢が出来たという話である。


「え、そうだったんだ!実は俺も学生時代、ライトノベルの賞に応募した事があるんだよ…全然だったけど」


「そうだったんだぁ…実際に応募するのはすげえな。俺は怖くて…」


「二人ともすごいな。俺は長いのは書けないよ」


ある意味で3人とも物書きには興味があるのも共通していた。淡い夢のようなもので、どこかで無理だと思いつつもそれでも書いてみたいと思ってしまう。それがずっと続いているようなものなのだ。この頃そういう夢はどういう風に動かしていったらいいのか、それとも忘れてしまったらいいのか迷っている。けれどこの日この話をした事で、もしかしたらまだそういう夢を見続けても良いのかも知れないと思うようになった。



酒と料理を楽しみながらしばらくまた夢のような時間を過ごした。
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二本松のこと、競馬のこと、これから手探りで何かを
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