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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

麗しき人の夢 ⑧

紫陽花が似合う季節になった。四季という言葉があるけれど、自然はもっと繊細に微妙に移り変わっていて春ではないけれどまだ夏ではないこの一時を彩っているこの花がいつの頃からか好きである。雨でじめじめした日が続いても色とりどりに咲いてくれているのを見ると、こういう時期も悪くないなと思えてくる。そしてまさにそう思えることがどれだけ素晴らしい事なのか、という事を考える時がある。


日曜。猫を庭に出して咲いている花とじゃれ合う様子をみて癒される。ベンチに座って喉をゴロゴロならしているのを見るともしかして癒されているのは猫も同じなのではないかと思ったりする。近所の野良が見えたような気がしたので同居人が気付かないうちに家に入れておく。抱えた時ブーイングをするように少しだけ唸っていた。


ところで庭には少しだけれど紫陽花が咲いている。大して花を植えているわけではないけれどその中でもお気に入りで葉も立派についていて腰の高さくらいまで育っている。土によって色が変わるという事実を知った時、近場でも色んな所に咲いているのに気付いて比べながら見ていた。ツイッターで紫陽花の花の写真に注目していたら、かなり近い場所に紫陽花が咲き誇っているという場所があるらしく地元に住んでいてもこういう盲点はあるのだなと感じた。



せっかくなのでその日に行ってみると、同じことを考えたらしい人が数名先に来ていて傾斜の中腹位に作ってある東屋のような処で寛ぎながら花を愛でていた。軽く会釈して私はせっせと周囲を見回る。白い紫陽花は西洋あじさいというらしく種類が違うとのことだが、やはりここでも紫陽花は藍や紫、その中間のように様々な色を見せてくれている。ここで自分のお気に入りだったのは頂上の方にある青々とした花弁。自然界に青の花というのは比較的珍しいと思うけれど、ここまできっちり青く発色していると目を奪われてしまう。


「ただできたらもうちょっと淡い感じのもないかな…」


もちろんイメージ通りと言うのはなかなか難しいだろうとは思う。それでも何か得した気分になって帰る。その間にそういえばあのエッセーでも花について述べていた部分があったなと思い出した。流石に時間が経っているので思い出し難くなっているけれど、折角だからもう一回読み直してみようと考えた。家でエッセーを捲りながら書いてある部分を探す。あった。こんな風に書いてある。


『夢の中でも花はよく出てくる。当然のことながら色がついている夢であることが多い。純粋な白い色の花が出てきたときには脳の中でこのような色が既にイメージされているという事にひそかに驚いたものだが、そもそも『頭の中がお花畑』というあまり好ましくない言葉があるように花が咲き誇っている場所はそれなりに現実感を失わせるのかも知れない。花の色は作り物ではない。現実に観ている鮮やかな色は神秘的でさえある』



花の夢を見るというのは確かに珍しい事ではないように感じるが、興味がない人には出てこない可能性もある。現実感を失わせているのかどうかは少し迷うところだが、先ほどの行った場所があんなところにあるという事は確かに想像はしていなかった。著者の花に対する知識が少し述べられたところでこんな風に続ける。


『そういえば最近緑の花があるという事を知った。とある場所で見かけたのはペチュニアというありふれた種類の花なのだが、青の薔薇が出来たという話も聞いたけれど、緑の薔薇もあるらしい。緑の花というのは葉と同じ色でなかなかに不思議なものである。それを知った時の驚きは大きなものだったが、私はこんな事を考えてしまった。


<ではそれを知らなかった私はそれまで現実というものを知っていたのだろうか?>


大袈裟かもしれないこの疑問は、現実にはどういうものがあるのかを知っていなければ可能性の段階で除外している事があるのではないかという意味ではなかなか面白い見方である。それまでの私の現実には緑色の花はそもそも存在すら考えられていなかった。では可能性として考えていたのか?


可能性を探っている夢の中にさえ勿論出てきた事はない。


そう考えると夢はあらゆる可能性を見ているというわけではなく、自分がどこかで可能だと思っている事を見ているのではないか。そんな風にも思ってしまった。勿論もっと奇抜な夢を見ている人にとっては虹色の花でさえ出てくるのかも知れないが』


夢と現実の交差を考えるエッセーらしい問題提起である。夢とはいえ経験したものから出てくるものだろう。だから具体的に形をとったものがはっきりと現実に現れた時には経験の延長からはもしかすると出てこないのかも知れない。緑の薔薇は知っていたけれど、ネットで調べてみると確かに緑の花と言うのはある。人工的に創られたものもあれば自然界にもともと存在するものも。私は、



<では…>


とはたと思う。私がぼんやりイメージしている淡く青のような紫のような絶妙な色合いの紫陽花も世界の何処かにあるのかも知れない。いやあるだろう。あると思うけれど出会えるとは限らない。


「でも、見つけたら嬉しいだろうな」


そしてそういうものを見つけるにはもう少し足を延ばさなければならないのだろう。それはまるで夢に向かって進むようだなと思ったりした。


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