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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

麗しき人の夢 ③

桜が満開になるのが例年より大分早かった。桜は長く楽しめればいいのに、桜の性質上すぐに散ってしまう。ずっと見られるようになってしまったら大して感動がないのかも知れない、なんていう風に考えてゆくと情緒が何となく分ってくる。夢見る様な気分で…それは恍惚というものだけれど、桜を眺めている間自分を忘れているような気もする。


それは短い時間だけ訪れる桃源郷とでも言えるのかも知れない。実際、地元のF市にはそれを思わせるような花見山という山があるし、N市も桜の名所で溢れている。特にお気に入りなのが城跡から登って行った所から遊歩道を歩いて見る桜である。地元愛が強くなってきた頃に始まった「さくらウォーク」というイベントで知ったコースなのだが、飽きはしないが「飽きるほど」沢山の桜を見て歩くことが出来る。イベント当日はあいにくの天気だったり既に散ってしまっている時もあるのだが、次第に歩かなくなってきている自分にとっては良い運動だし、人が多くて結構面白い。



スマホという便利な機械のお陰で写真も手軽に取れるので、これまでに相当量の画像がPC上に保存されている。ちょっと思い立って整理していると同じ桜でも色々な表情を持っているという事に気付く。淡いものから濃いもの、豪勢な感じがするものもあればやや年老いているような感じがするものも。県内だと滝桜が有名なのだが、友人は地元愛ゆえか過去の遺恨が念頭にあるのか素直に認められないらしい。自分も歴史を勉強するようになって、何とも言えない気分になったものだが美しいものは美しいという気持も偽れない。



『美しいものは希少なのかも知れない、などという事を時々考える』


そういえば「麗しき人の夢」ではそんな風に始まる章があった。桜について述べているわけではないのだが、「美しいものと夢との交差」を述べるその章の言葉の幾つかは今の十分当てはまるような気がする。


『私は夢の中でも素晴らしく美しい光景を見たりする。脳が再現しているのだとすれば、これほどまでに己に視覚的な想像力が備わっているのだと感動する事もある。けれど何処かしらCGのように思える様な時もあって、一歩間違うとこの上なく醜いものに見えてきたりする。そういう夢を通して、自然の美というものを実感する事もあるのだが、身の回りに『美』といえるようなものはそれほどないなぁと思うのも確かである』


こういう風に述べている著者だが夢の方の経験はともかく、普段から美に囲まれている生活をしている人というのは少数派のような気もする。豊かな自然がウリのこの町でさえ自然の厳しさと裏腹で、強風で倒れてしまった草花を見ていたりすると、整っているとは言い難い光景の時もある。もちろん全体としては豊かさを感じるし、電線もすくなく開けた青い空は美というしかない。けれど著者の住んでいる場所がここと同じではないという事は何となく分る。


『美しきものが溢れていたとしたら、価値は無くなってしまうのだろうか?そもそもそういう事があり得ないからナンセンスだ、とは思わないように少し想像してみるとする。卑近な例だと美人ばかりになったとしたら?美男子ばかりになったとしたら。それはある意味で人類が均一化され過ぎてしまっているという事でもあるだろう。そもそも美醜の感覚が人それぞれ違うのだからと補足しておけば、少なくとも自分が美男美女だと思っている人ばかりになったとしたら、それは何となく愛着が持てなくなるかも知れない。けれど一方で、美しいものは希少だという考えはどことなく正しいという気持ちを捨てきれない』



美男美女を「桜」に置き換えれば、概ね自分の言いたい事と等しい。どこかで希少価値を考えているのかも知れない。そうな風に思っていると膝の上に猫が登ってきた。この茶トラは美しいというよりは「カワイイ」、そして愛らしい。考えてみればカワイイというのは「美しさ」を補うものであるのかも知れない。美しさは希少だけれど、カワイイものは探せば結構ある。



「例えば桜にしたって…」



と一つの桜の写真に目が留めた。それは決して立派な桜ではないかも知れない。「美しい」という風に感じるというよりは、どこか微笑ましくなるような桜である。これは満開になる少し前に図書館に行った際に撮ったものである。静かな図書館に咲いている可愛らしい桜。もちろん、あと何十年もしたら立派な木になって、人々が思わず足を停めてしまうような桜になる可能性もあるけれど、この普段着の気分で見ていられる所にある桜というのも愛らしい。そういえば著者もこう締めくくっていた。


『美しい世界は肩が凝る。むしろバリエーションのある夢を見たい自分としては美だけに囚われる事なく存分にその性質を活かした世界を作り上げていってもらいたいものである』


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