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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

リアルファンタジー2

網膜に焼き付けたいほどの光景が目の当たりに展開しているというのに、いまいち興奮が無い。この頃秘密裏に開発されたというファンタジー世界を実際に体験できるゲーム、『リアルファンタジー』をプレイする為にとある田舎の…ド田舎と言っていいかも知れないが、とにかく某県某市の広大な私有地を訪れた私。噂では特許権がどうたらとか悪用される危険性がある事から政府すら情報統制をしていたらしいその新技術は『現実』という言葉の意味すら変えてしまいそうな代物だった。


体感ゲーム『リアルファンタジー』はその私有地全域をいわゆる『剣と魔法のファンタジー』の世界に作り替えてしまう。基本的にどのようなものでも再現できるが、その区域内でしか実体化しない。実体化するというのか、脳にそう認識させているのかは特許に関わる事なので今のところ秘密らしいがペーペーながら真実を追求する記者の端くれとしてはその『秘密』に是非迫ってみたいと上を説得して、開園後数ヶ月で既に予約が来年まで一杯の中から『報道枠』を交渉してもらって本日、その地に立っている。


噂に違わず、実体化された建物、武器、モンスターの精巧な再現度と物質的な感覚は本物で、恰もそこにあるかのようなどころではなく、そこに『在る』という事を全身で体験できる。地味に驚いたのは臭いである。トロールと呼ばれるモンスターの獣じみた体臭すら再現されていて、少しばかり吐き気がしたがその厳つい表情も真に迫っていて目を背ける事が出来ない。


同日に関東圏からやって来たという家族にもインタビューしてみたが大喜びの子供とは対照的に、


「なんだか夢を見ているみたいです…」


と複雑そうな表情をしていたお父さん、お母さんが印象的だった。これだけショッキングな光景なのに『いまいち興奮が無い』と言ったのは、元来ファンタジーに興味のない現実主義者の私はアトラクションとしての価値を冷静に分析しているからである。



リアルファンタジーを一言で評価すれば『夢があるのに夢が無い』という事だろうか。ファンタジーの癖にモンスターとの戦闘は基本的に肉弾戦で、RPGなら不可欠の回復魔法は性質から言って範疇ではない為、プレイする前に事前に『プレイ中の負傷について』の誓約書を書かされ、モンスターの攻撃による物理的ダメージによる負傷には当社は責任を負わないとの旨が記されていて非常にきな臭い。無論大けがをしないような調整にしているらしいけれど、実際それは「私達は格闘技をしています」と宣言しているようなものだ。


「くらえ!!ファイヤー!!」


上級者らしい人が目の前で火の魔法を使っている。ところでこの魔法は本来なら誰にでも付与できるらしいのだが、これは『課金』が必須である。何でも廃課金のヘビーユーザーほどプレイチケットという名の招待状が優先的に配られ、プレイ中の魔法はMP(マジックポイント)を『買って』補充しなければならないという設計。ちなみにレートはMPの10単位について100円だそうで、高度な攻撃魔法を使うにはそれなりのポイントが必要で、一回の魔法でおよそ500円は掛かる計算である。これを安いものと見るかは人それぞれの価値観だが、上級者は一回のプレイで10万ほどつぎ込むらしい。



それでもモンスターを殲滅するような魔法を体験できるとあって課金が止まないらしい。先ほどの異臭を放っていたトロールは上級者の放った魔法で焼け死んだ。焦げた死体がそのまま転がっていて、時々その中に実際に遣えるアイテムが見つかる事もあるらしい。いやにせせこましいというか、時々レアなアイテムとかMPを回復(補充)するアイテムも落ちている。



課金をしない場合はどうなのかというと、ひたすら肉弾戦である。ぬめっているだけのスライムのような雑魚ならともかく、驚異的な耐久力を誇るボスを素手で倒すのは不可能である。プロの格闘家が死闘を繰り広げてようやく倒したとネットで自慢している人がいたが、それは私の考えでは楽しくはない。



というわけで実際上、戦わないでファンタジー世界の安全地帯を遊行するツアー的なものと本格的に現ナマを使ってプレイするという両極に分かれているようだ。先ほどインタビューした家族は一応スライムを倒して、それが必ず落とすという『記念品引換券』をゲットして満足していた。記念品は安っぽいぬいぐるみらしいが、体験した証になるのだろう。取材の後半からは専ら上級者のモンスター狩りに同行して、ほとんど機械的に魔法を唱えてアイテムを回収してゆく作業を少し離れて見守っていた。



凄いものを見ているのに私は段々退屈し始めた。むしろこんな作業を続けるくらいなら普通の生活を送っていた方が刺激的だとさえ思った。幸いにしてフィールドに咲いていた花々が美しかったので「良くできてるな」と思って記念に撮影していたが後で関係者にそれを見せたところ、


「それは本物の花ですよ。ここ等へんは自然が豊かなので普通に咲いています」


と告げられて複雑な気持ちになった。翌日自分のデスクに戻って上司から、


「どうだった?凄かったか?」


と訊かれたので私は答えた。


「ええ、現実と何にも変わりませんでした」


現実と変わらないという事は、普通に仕事をしていた方が有意義だなという意味である。
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