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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

K君リクエスト 「ザ・クレジット2」

就活を愚痴るわけではないけれど、内定が一つ取れてしまうともう好んで厭な事を続ける気力もなくなり、残りの大学生活を存分に楽しもうという気持ちに切り替わった。不吉な場所という意識は現実的な感覚によって、実際的な判断によって段々と薄れていって、凡そ8か月ぼちぼちと準備をしながら単位だけは落とさないようにとか卒論のテーマをどうしようかなどと考えながら日々を過ごしていった。


無事大学を卒業して、慌ただしく新生活の切り替えが始まった。不慣れな事ばかりで最初はやってやるぞという気持ちと大丈夫かなという不安があったけれど、地元に近いという事もありそれほど戸惑いは感じなかった。ただ、友人との連絡が疎遠になったりでやや独りで何かをする時間が増えていったように思う。


そんな折である。住居近くの飲み屋で同僚と飲んでいた時、ついうっかりあの事件の事を口に出してしまったのが今思うと失敗だったのかも知れない。和やかな席だったからそういう話をする僕はその場では「やめろよ~」というようなちょっとした非難を浴びたのだが、場に居合わせた一人だけがその後も時々僕の方を窺うような表情をしていたのが気になった。


たまたまトイレで二人っきりになるとその人が静かな口調で僕に話しかけてきた。


「あの話さ、俺地元なんだけど、ここら辺ではダブーだよ…」


「え…?あぁ、やっぱり良くないですよね…」


「いや…」


と言って神妙な顔になって間があった。躊躇っているように何かを思いだしながら、


「その話をすると、実際に見てしまう奴がいるらしいんだよ」


「え?何をですか?」


「何をって、そりゃ…」


話の流れもあったが僕は嫌な予感がすると同時に、「G」という言葉が咄嗟に思い浮かんだ。


「G…」


つい呟いてしまうと、その人が驚愕の表情で僕を見た。まるで信じられないというような顔である。低くくぐもった声で彼は言う。


「それ、どこで聞いた?」


「え、昔友人に」


「…そうか。うん…」


まるでその「G」という呼び名を知っている事があり得ない事だと示しているような様子だった。


「どういう事なんですか…?」


そう言って彼に聞いた話はこうである。あの事件については地元ではほぼタブーになっているという事だがあの事件以後にもその話をしていた者の中に実際にそれらしき存在を目撃したという例があったそうである。ただ、それは話を信じやすい人がその気になってしまって錯覚してしまったのだろうと最初は誰もが思っていたそうである。だが、その目撃者の一人がその後『失踪』したという情報があった。更に不気味な事に最初に事件を目撃し発狂されたとされた人が、その直後にとある週刊誌に実名でインタビューを受けたのである。幻覚にしては生々しい描写だったため、即座に切り捨てるわけにもゆかず、だからと言って本気にするわけにもいかないので次第にタブーになって、自分からその話題を語る人は居なくなった。だからこそ僕が「G」という音を発した瞬間に、「何故それを知っているのか?」という疑問が生じたとその人は教えてくれた。


『G』というのは「グロい」というところから来ているらしく、週刊誌がやや扇動的にするために『グロえもん』という見出しをつけたところから始まっているそうだ。勿論、本家のアニメの方がそういう奇怪なものの風評被害というのかイメージダウンになるというので、多分だけれどあまり事を大きくしないでという要望があったのかも知れない、以後その話題は一切出てこなかった。だから地元では噂として隠語的に「G」として認識されているのだが、それすら知る人ぞ知るという隠語だという。


僕は一瞬背筋がぞわっとした。つまり最初にこの話を教えてくれた友人が「G」と発した瞬間に、実はそれは何かしら特別な事だったのである。僕は次第に友人の事が気になりはじめた。
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