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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

秘密のダシ

大抵の事には重要性がないと括ってしまえばそれまでである。自分にとって大切な事、例えば今日の昼食にはいつもと同じラーメン屋で何とんこつを頼もうとか、や少ない予算を何の娯楽に使おうかという悩みなどに比べれば、見知らぬ場所で生きているであろう誰それが、今日の何時に起きて、その後何をしたかなどという事は、幾らか例外があるもののどうしても重要性がなくなってしまう。


そういうのは利己的だとかではなく、単純に自分でどうにか出来るか、何か貢献できるかという事を考えていれば必然的に、自分の事くらいしかどうにもならないという事に気付いて、ついついそうなってしまうのだけれど、自分としてもこれから先挫けずに生きてゆくためには日々のささやかな楽しみや、休日の娯楽なども大切には違いない。結果、上述の結論に到達し、それを口に出してしまうと


『しかし…』


と思うのである。確かに私は政治家でも何でもない地方に住む一介の市民に過ぎないから、日本の事とか、県の事ですら手に余るし、じゃあ市内の事はというと、若輩者ゆえ何ら関われている気がしないのも事実である。よくよく考えてみれば、いづれ自分の生活にも跳ね返ってくるから大きな事は重要性はあるだろう。が、自分なりに出来る事をやって行っても、大勢には影響していないも同然と言ってしまえる。そう言いたくはないが、シビアな捉え方をすればそういう認識も必要だ。もっとも、そう分っていても、ネット上で息巻いてみたりすることがある。それは愚痴というよりも、世間の声として誰かが言っておかなければならないだろうというニュアンスで参考程度になればいいなと思う事を言っているだけなのだが。



それで具体的に何かが起こったか?と言われれば答えは限りなく「NO」だ。


口やかましい事を文字で見せられるより、視覚的に美しいもの…食欲をそそるようなものを画像でアップロードした方が、誰かを元気にしたりして、実際は求められているなら…なんて想像をしてしまう。



現に、自分にとって大切な事が、とんこつの種類が赤なのか黒なのか白なのか、という事がいつも重要で悩ましい選択として立ちあがるような私と他者がそれほど大きく差異がないのだとすれば、私が気楽に望むような、すぐ伝わって即席で実行可能な提案が情報としてもたらされた方が結果としては何かに貢献できているとも言える。



それでいいのか?


これについては「NO」とも「YES」とも言えない。ただ、どちらを選んだにしても何とも言えないモヤモヤが残るだけである。何かここで言える事あるとすれば、どうする事もできない問題については「多くの人も分り切っている」という事である。「分り切っていて」分り切っているという事を確かめて、それでどうにもならない、だから言うのが野暮になってしまうのである。蒸し返したって。



「何だ、今日も悩んでるのか?白にしておけよ」



先輩は白とんこつを勧めた。私もそれが良いと思っていた。


「そうですね、じゃあそれで…ところで先輩」


「何だ?」


「重要でない事については、考えるのは馬鹿馬鹿しいですよね」


「何だいきなり…」


「いえ、ちょっとさっき世の中の多くの事は重要でないって思えてしまったので…」


先輩は『またいつものあれか』というような呆れた表情をする。でも律儀なのか、一応答えてくれる。


「まあ、お前が具体的に何を浮かべているかは分からんけど、それなりにバランスは取れてると思うぞ」


「バランスですか?」


「これはあくまで俺の考えだが、人間っていうのはある程度年とってくれば自分が出来る事がだんだん分ってくるもんだ。出来ない事をどうにかしようとするのはそんなに簡単じゃない。となれば、出来る事を探すよりも出来る事の中で何とかする事を覚えるっていうのか、まあ何ていうのか色々な事情を知ってある程度納得してしまうんだろうな」


「ええ、まあそんな感じですね。ただそれとバランスって一体どういう関係が?」


「まあ慌てるなって。つまり、納得しているっている部分があって、更にどうかしようと思うのは納得している部分に逆らうって事と同じなわけで、バランス的に言えば、更にどうしようかと思えているのは納得していない部分なんだろう。納得している、何とかしようとしている、この二つの意思がバランスしているっていう事だと思うんだ」



「ああ、なるほど。確かにそう考える事もできますね」



「最初の話に戻ると、お前は最初『世の中の多くの事は重要でない』って思えたと言ったよな」



「ええ、そこからですね」


「でもそれを俺に相談するっていうことは、そう思えていない部分が、それを納得してないって事の現れだろう」



「そう…ですね。多分」



先輩は私以上に私が見えていた。先輩はこう続ける。



「そもそも「思う」っていうのは、やっぱり度合いがあるんじゃないかと思う」


「度合いですか?」


「そうだ。一瞬そうかも知れないって思えるくらいの事は、そんなに思ってない。本当にそんな事思ってたら、全部無視するだろう。だが完全には無視できない。それは現実、或いは世の中が、色んなものとの関係で成り立っているという事を確信しているからだ。色んな生き方はあるが、こういう生き方をしようと思ったら、必然的に制約が出てきてしまう。まあ具体的には仕事絡みで」



「まあそうですね。そこに集中しなければ仕事になりませんもんね」



「それを全肯定するつもりもないけれど、そうしなければ生活が成り立たないのだからそれ以上の事は月並みな事だが出来る範囲で続けてゆくしかないんじゃないか?」



「それで何かが起こりますかね…?」


「知らん」


「え…?」


流れから予期しない事にすこしたじろいでしまう。


「だから知らんて。起るかも知れないし、起こらないかも知れない。それだけだろう」


「ま、まあそうですが」


その通りだったので何も言えなくなってしまったのだが、釈然としかなったのも確かである。


「ただ…何か起るとすれば、そういう状況でも何かを続けている奴になんだろうなと思う。うん」


それは自分に言い聞かせているような調子だった。これを聞いて私は先輩について、気になる事があった。


「先輩は何かそういう事をしてますか?その準備というのか…」


先輩はその瞬間、にやっとした。


「それはお前にとって『重要な事』か?」


「あ…」


そう、それはこの瞬間においては『重要な事ではない』とは自信をもって言えない事だった。


「ま、まあ重要ですね」



「重要だったら教えてやる。これも月並みな事だが、なるべく関心を持つようにしている」



「例えば…?」



「簡単な事だ。『何でお前は白とんこつが好きなんだろうな?』とかいうどうでも良い事でも、ちょっとだけ考えてみるようにしているんだ」



「え…あ、ははは…確かにいつも「白」ですよね、俺」


先ほどまでの律儀を発揮してくれている様子とはうって変わって今度は楽しそうに先輩はいう。


「これは推測なんだが、お前って…ああ、ちょうどラーメンが来たか。そう、この「赤とんこつ」みたいに辛いのそんなに得意じゃないんだろ?」


「いえ、違いますよ。辛いのも食べられるんですが、単にあっさりしたのが好きなだけですよ」


「ふ~ん。お前らしい理由だな。納得した。そういえばあっさり系だとな…確か…」



と話は自然とうまいラーメンについてに移った。こんな出来事も自分以外にとっては重要な事ではないかも知れない。でも、それなりに大切なことも、含まれている。多分、白とんこつに若干含まれているであろう企業秘密の秘密のダシ程度には。
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