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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

青空週間

サラブレッドには血のドラマがあるが、レースにはそれぞれのドラマがある。実際は数分で終わってしまうレースも、そのレースの中には大切な瞬間とか、勝敗を分ける決断とかがあって、同じレースでも繰り返し味わいたいと思う時がある。またレースに至るまでの厩舎や生産者などの関係者の努力があって、多くの人がもっと長いドラマの関係者である。短いドラマ、長いドラマ、大長編、そういう異なった長さのドラマを深く知ってゆくと、毎日ネットで更新される細かなニュースも当然関心事になる。ある名馬が亡くなったというニュース、ある馬の子供が生まれたというニュース、怪我、復帰、引退、そしてデビュー。


同じことの繰り返しのように見えて、一頭にまつわるドラマは一頭だけのものである。同じことを繰り返しているように見えて、受け継がれてゆくものがある。技術であったり、もっと大切なものであったり…。


そんな当たり前で尊い競馬の世界を意識している時でない、日常の生活では私はごくごく平凡な人間で、平素取りたてて何をしているわけでもない。


大切なもの…記憶に残るような出来事がそんなにあるというわけではない。かと言って、そんな毎日に不満なのかというとそう言う事は殆どなく、僅かにもう少し毎月の給料が増額でもすればもう少しい多くの事に手を広げてみるのだけれどと思うくらいである。まあ、それは仕事の中で頑張ってゆくしかない。同僚とする話では、やはりそのような事が関心になっていて、ドラマがある世界とは程遠い坦々とした日常をいかに充実して過ごせるかの創意工夫に余念がない。



私の同期の中に一人かなり仕事熱心な男がいる。上司からの評判も良く、何かと頼りになる存在である。彼と自分とを比べたら『エアシャカール』君と名付けた後輩の事もあまり悪く言えない。


とまあ、ここまでの話だったら私が悩んでいるようにも見えなくはないけれど、最近はそんな事よりも今は自分をどの馬に擬えるのが良いのかを考えていたりする。いつものように情報を整理する。厳密にはライバルではないが、同期になかなかの逸材がいて、せいぜい二三番手にいる自分。自分を考える上で必要なのは、その同期の男が競馬史上のどの馬に当たるかという事をしっかり考える事である。それが決まれば自分の位置も自ずから分る。



私はちょっと前に『ロイスアンドロイス』君と呼ぶことに決めた眼鏡君(仮)を呼んだ。

「なんですか?」

と訊かれ、私はギャロップレーサー仕込みの知識がどれくらいあるのか試してみる事にする。


「ギャロップレーサーやったことあるんでしょ?その中で結構強い馬で印象に残っているのってどういう馬?」


「あー。そうだな…俺2とか3とか良くやってましたけど、その辺で言うとやっぱりナリタブライアンとか、スペシャルウィークとかですね。「差し」が得意だったし、3からは瞬発力がある馬が有利でしたし」


「おお、懐かしい…確かにそこら辺は強い設定だったよね」


「あとは、地味に逃げるのも好きだったからクラウドブルーとかかな…」


「クラウドブルー…あれ?そんな馬いたっけ?」


「いましたよ。葦毛で、FH(フリーハンデ)が65くらいの能力でした」


「あ、そういえば…」



そう、私が思い出したのは、ギャロップレーサーには注意しなければならない事があって、それが「ナルビークラウン」、「ウエスタンフローラ」、のように実名の権利が貰えなかったからか、本物の名前を少し変えて登録されている馬がゲーム内にいたということである。ちなみに、「ナルビークラウンは」言わずと知れたオグリキャップ。これは母の名前が「ホワイトナルビー」だった事から来ていて、「ウエスタンフローラ」は安直に「ニシノフラワー」である。そして同じく「ニシノ」の馬主さんの馬「セイウンスカイ」が「クラウドブルー」と仮名馬として登録されていたのである。私は『ロイスアンドロイス』君にそれを説明した。


「へぇ~セイウンスカイって言うんですか。本当にいると思ってました。クラウドブルー」


「ゲームではよくある事だね。ダビスタも昔は『アグリキャップ』とかあったもんね~」


『ロイスアンドロイス』君はそれでも何か思うところがあるような顔をしている。「どうしたの?」と尋ねると、



「セイウンスカイよりもクラウドブルーの方が格好良くないですかね?」


私はそれに対して異論を唱えた。


「そうかな?セイウンスカイって格好良い響きじゃない?なんか青空って感じ」


「なんか線香っぽいような…」


「あ、そりゃまあそうね」


「青雲それは~♪」で有名なCMを知っていた『ロイスアンドロイス』君の雑学は絶妙なところまで届いている。あと一歩、「クラウドブルー」が仮名だと言う事に気付いていれば話がもっと広がっていただろうに。そこが非常に惜しまれるが、競馬通ではないので常識人としてはかなり凄いほうである。


「参考になった、ありがとう」


「いえいえ。じゃあ」


そういって『ロイスアンドロイス』君は自席に戻っていった。参考になったのは確かである。強い馬といえばやはりダービーを勝った馬で、特にスペシャルウィークの世代なんかは常に最強世代と呼ばれたりして面白い。実を言うと、私はセイウンスカイが好きなのである。だから同期の彼をスペシャルウィークに定めてしまえば、そのお零れで自分がセイウンスカイの気分を味わえない事もない。でも…


「なんとなく恐れ多い…」


「何が?」


私の独り言に反応したのは当の同期の男だった。丁度良いから彼に訊いてみる事にした。


「なあ、俺って先頭を走るタイプだと思う?」


「どちらかというと追い込みじゃねぇ?」


「そうだよな」


自分の事はよく分かっていないのが本音である。ただし、自分が先行逃げ切りのタイプでないという事はよく知っていた。むしろ、追い込まれてから本領発揮するタイプなので、その辺で言うと「キングヘイロー」の方が良いのかな…とか思ったりもした。でも多分あんなに気性が悪くないし、良血でもない。


「お前はさ、集団で走っているというより、集団と関係ないところで一人黙々と走ってそうなタイプだな」


「そ、そうか?自覚ないけど」


ズバッというところなんかはキレがあって、やはりこの男はスペシャルウィークと呼ぶにふさわしいと思うのだが、そうすると自分は何なんだかよく分からなくなる。まあ、今日のところはスペシャルウィークという事が決定したから良しとしよう。すると『スペシャルウィーク』は何か言い残した事があるのか、遠い目をして、


「でも…」

と続けた。そして意外な事を言った。


「最初に見たときは集団の先頭を走ってたよ。気持ちよさそうに」



それを聞いて何となく、脚質転換を図った古馬になったセイウンスカイの事が思い出された。


「まあ、今の所いろいろ保留かな…」


いつか、またあんな逃げ馬が出てくれたらいいなと思う。
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