FC2ブログ

スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

束の間のざわめき

ターコイズのような色合いがなんだか美味しそうに見えるのだとしたら、十中八九チョコミントアイスのせいじゃないかと思う今日この頃。くたびれたTシャツの襟元が妙に気になる。単調に過ぎてゆくのに時間が経てば劣化してゆくなら、気が付くとまた新たに用意しなきゃいけない何かがある。そして新調は思うほど単純じゃない。行きつけだろうと全く同じものが店の棚に並んでいるわけでもない。

「NO MUSIC NO LIFE」

というありきたりなプリントに深い思い入れなんかありはしないのに、その代わりにどんなメッセージが入っていたら馴染むのか、自分にはよく分からない。今年になって初めて食べたチョコミントの味は自分の中の何かを目覚めさせているような気がした。

少し遠出するのも今日はなんとなく苦にならない。車を走らせて20分。普段なら行かないショップの駐車場で財布の中身を気にしながら歩き出す。イメージの中にある『アメリカン』な要素をちりばめたような内装の店で、普段はあまり聞かない洋楽のBGMを新鮮に感じながら服を選び始める。『春物』といいつつ、少し薄手に寄っている品揃えは先を見越したものだろう。全てにおいて『慣れている』所作の店員が、特にこちらを気にしているでもなく坦々と作業を続けている。

そういう様子を見ていると、まるで自分が服を選ぶのも『作業』なのではないかと疑ってしまう。確かに冷めた言い方をすれば劣化すれば取り替える消耗品なのかも知れない。劣化しなくとも時代遅れになれば、流行りが終わってしまえばファッションとしては機能しない布になると考えてもあまり外れすぎてはいない。今着ている「NO MUSIC NO LIFE」に思い入れはないと言いつつも、そこまで冷めた見方をして着ているものでもない。唐突にそう気付いた。


でもそのままそれを着続けるという趣味もない。だが、何かただの布ではない何かであった証があったっていいんじゃないかと思う自分が居た。可能な限り。


<証…か…>


自分の思考の中の不思議な響きのある言葉に思わず身動きを停めてしまう。一瞬自分だけが世界の流れから踏み外してしまったかのような戸惑いを感じてさきほど店員が居たところに目を遣るが、彼は相変わらず迷いなく作業をこなしている。



こういう気分自体、気まぐれというやつなのかもしれない。だとしても仕事とテレビの話題で世間並みに均されている自分にとって、気まぐれという事自体が、そしてそれに唆されること自体が稀であることは間違いない。



その気まぐれから何かが始まってゆくストーリーをぼんやり思い浮かべる。今日これから『運命の出会い』があって、人生が激変してゆくならそれはそれで面白い。現実が…少なくとも自分の人生がそんな具合に動いてゆくものなら、これまでの常識などというものも当てにならないと言われているようなものだろう。




自分でもわかっている。自分に今見えているものは、あながち間違いではないと。それを疑えるほど学んできていないわけではない。世の中で驚かされる出来事があってもそれは何処かで「あり得そうなこと」だと思っていたような気もするし、かと言ってそれを完全に予想できるほど自分は見通せていない。



いつしか淡々としたテンションで服を選び始めている自分。お気に入りになるような服がこの店の中にあるかも知れないけれど、何も無理にそれを探す必要はない。この中にあるものから気に入ったものが手に入れられれば本来はそれでいいのだ。


<それでい…>


『それでいい』と納得させるために反芻しかけたところで思わず目を見張ってしまう。その棚の下段左隅には『NO MUSIC NO LIFE』があったのである。しかもそれは春を意識してなのか、淡い緑色のトレーナーである。それは『チョコミント』の色を思い出させた。



それは出来過ぎた偶然、と呼ぶには相応しくはないのかも知れない。時節的にあり得る『組み合わせ』で、それが偶々この店に置いてあっただけなのだ。けれど、今の自分にとってそれは特別で、少なくとも自分の目を疑うくらいには意外な…ちょっと信じられない事だった。



<『何か』があるのか…?>



思わず分かりもしない『何か』がこの世界にあるような気がして不思議な高揚が訪れるが、その瞬間規則正しい歩行のリズムで後ろを「いらっしゃいませ、失礼します」と通り過ぎていった店員の存在で「おっ」っと思っていつの間にか大したことではないという気持ちになってしまう。だが、



「何を馬鹿なことを」



と自分を窘めるように声にしてみると、それでもそのトレーナーが自分にとってはお気に入りになるだろうなという紛れもない感覚が逆に際立った。



結局それを持ってレジで会計を済ませる。



「ありがとうございます。またお越しくださいませ」


という爽やかな声を背に受けて再び外に出ると、その瞬間ビューっと強い風が吹いた。そういえば昨日のニュースで「春一番が吹いた」とアナウンサーが『満を持して』というテンションで告げたのを思い出した。



<この『NO MUSIC NO LIFE』は今日みたいな日にはちょっと頼りないかもな>



という何とも言えない気持ちで愛車を見据える。そそくさと車に乗り込んで景気づけにカーステレオにBluetoothで接続したスマホの音楽をシャッフルで流してみる。前に友人に勧められて自分でも入れたことを忘れていた若々しいバンドの曲が、なんだか妙に楽しそうに聞こえた。いや、そっくりそのまま「音を楽しんでいた」かもしれない。
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

二人の管理人

Author:二人の管理人
ブログには珍しく二人の管理人で更新してゆくブログです。

二本松のこと、競馬のこと、これから手探りで何かを
やってゆこうと思っています。




最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ただのカウンター
フリーエリア
投票
google+
プロフィール
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR