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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

またこれから

食べておいた方が良いと思って食べたケーキがカロリー供給という趣を醸し出していた事に人知れず動揺した。もはやそれほどカロリーは必要としていない年齢になって、上にちょこんと載っているイチゴに救いを見出しているような心境なのも地味にポイントが低そうだなと思った。


そんな具合に評価される「若さポイント」を心の中で集計し始めてそろそろ2か月くらいだろうか。「若さとは?」という定義をまじめに考えるほど元気ではない時点で-5ポイントはいってしまうだろうな…かなしいなぁ…というモノローグを形式的に少しやってみたところで気を取り直す。午後にそこまで必要性を感じない用を済ませに出掛けるという時の気持ちを盛り立てるために口がクリームまみれになったのだが、果たしてそれは効果的だったのか、もはや考え直したくはない。


<それはもしかすると若さポイント+5じゃないのかなぁ…>


という謎の自己肯定を行って車に乗り込む。若さが全肯定されるわけでもないけれど、職場で要求される「フレッシュさ」は自らも誰かに要請している何かかも知れず、つまりは…。


結論を与えようとした時、肌寒さには温泉のように心地よい温風がフロントからやってきてすっかりリラックスする。いつまで経っても手続きに慣れない役所への申請に使われる気力ぐらいは温存しておきたい気持ちで、景気づけに最近気になっている女性ボーカルの曲をBluetoothで流してみる。



日頃のあれこれで荒みそうになりかけている心境には心地よい琴線に触れる王道のコード進行で始まるミディアムバラードは懐かしさを感じさせながらも新しい道へと連れて行ってくれそうである。同年代の知り合いも、新しい曲は聞かなくなるというような話を聞くと、まだ自分は新しいものに触れる気持ちがあるんだろうなと思うのだが、だからそれが何なのだと冷めそうになっている自分もいるのじゃないだろうか。例えば隠れた引き出しの中にとか…。



それでも、例えば今みたいに慣れた道を走っていても、知らない場所に繋がっている道があるんじゃないかなんて想像してみたりするあたり、まだ何かを期待しているのだろう。忙しい忙しいなんて言っているうちに今年も終わりになるけれど、今日だって何かがあるかも知れない。



次の曲に切り替わるところで目的地に到着してしまうのは何となく勿体ない。外は寒いし、この暖をもう少し味わっていたいのも人情というもの。けれど用を済ませない事にはモヤモヤしっぱなしだし、出来ることなら早く解放されたい。


比較的強い意志でドアを開け放ち、右足をアスファルトに押し付ける。その時感じた、妙な疲労感はもしかすると若さとは正反対のものかも知れず、誤魔化すように「よし!」と奮い立たせて歩き出した。




ついこの間、期日前投票で訪れたばかりなので何だか頻繁に訪れているような錯覚に陥る。市長選の結果を受けて今後がどうなるとか、自分の知識のレベルではぼんやりとしか想像することはできないけれど『良いことばかりではない』というのはどこかで警戒しておかなければならない事なのかもしれない。



どこか定まらない雰囲気を感じつつ、事務手続きを済ませていると何処かで聞き覚えのある声が。


「おう!佐々木くんじゃないか」


「お、こんなところで会ったか」


何を隠そう前の職場の佐々木君である。心情的に連絡を取りにくくなっている人も居る中で、今でも少しSNS上でやり取りがある佐々木君とは同年代という事もあり、そしてこういう場面でよく遭遇するという意味で「縁」を感じている。もしかすると佐々木君も同じ気持ちかも知れない。


「この後時間あったらどっか寄ってく?」


佐々木君の提案を快諾して明らかにテンションが上がったのを感じる自分。「どっか」と言ってもどうせ行く平日日中に行ける場所は限られているが、だからと言って侮るべきではないという事を経験的に知っている。



後にやってきた佐々木君の用事が済むまで座って待機する。



<なんの話をしようかな…>



頭の中で自然に考えている自分がいた。音楽の話とか、最近あったこととか、なんて整理しているうちに没頭しすぎたのか、


「お~い」


と呼びかけられてドキッとしてしまった。


「あ、ごめんごめん。お城の近くのレストランがいいんじゃないかと思ってさ」


「ああ、一回行ったことあるかも知れない。あそこ雰囲気良いよな」



というわけで、それぞれ車でレストランに移動する。レストランと言っても、喫茶店のような雰囲気でやってきた時間が良かったのかほぼ貸し切り状態だった。隅の方の席を選んで着席する。


「もう菊人形も終わっちゃったし、後はひっそりするのかなぁ」


当たり障りのない世間話からと思い周囲について見たままを言うと、


「いやぁ、案外人が来てるみたいだぞ。ポケ〇ンとか、天守閣の猫とか、なんだか前よりはずっと賑やかに感じる」


佐々木君が言うのもごもっともなのだが、『賑やか』さのレベルについては一考を要すような
話なのかもしれない。


「ところでどうだ?そっちの職場は。さすがに慣れたか?」


「まあまあかな。どこに行っても求められることは同じなのかもなぁと最近では思う」


「その役のいくらかを俺がやっているような…。まあ仕方ないけどな」


自然と微妙な話になりつつも転職を考えたときに最初に相談に乗ってもらった相手だけあって、話しやすい雰囲気でどんどん次の話題に移ってゆく。


「でさ、『若さ』を求められているような気がするんだよ。どこでも」


そして自分がいまひしひしと感じている何かを共有してほしいのか、この話題で熱がこもる。


「『若さ』かぁ…若さって何だろうな…」


「はっきりはしないが、『元気』という事とは少し違うような気がするんだよなぁ」


「そうかもな。疲労回復が早いのは確かかもな」


「なるほど。確かに遅くなったな、回復…」


「笑い話じゃないんだが、俺も回復してないけど「回復した!」って思いこむようにしてるかも」


「本当に笑い話じゃないな、ははは」


「でもさ…」


佐々木君はその時少し真面目な顔になって言った。


「まだ何かを始めるのに遅いっていうほどの歳でもないと思うんだよ。俺たちって」


熱がこもった眼差しでじっと見つめている佐々木君を見て、<多分何かしたいことがあるんだろうな>と直感したのは正しいのかも知れない。


「そうだよな。何かを始められるってことは忘れたくない事だよな」


何かを確かめ合ったからなのか佐々木君は少しリラックスした表情になって、


「というわけで、俺はここで初めてこのケーキを食べてみる」


と謎の宣言をした。というかもしかしたらただケーキが無性に食べたくなっただけの話なのかもしれない。


「…お、おう」


そして運ばれてきたしっかりとした造りのケーキを、胸焼けを押し隠しながら見つめていたのだった。
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二本松のこと、競馬のこと、これから手探りで何かを
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