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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

フレミングに宛てて⑩

コンビニの朝のシフトはなかなかハードな時間でもあります。コードをスキャンして検品、陳列をしながら次々にレジに並ぶお客さんを待たせないようにさっと持ち場に戻って会計をしているだけでも時々<ちょっとした『修羅場』なんじゃないか>と思う事があって、こういう時ほどベテランの落ち着きを見倣いたいなと感じます。既に見知った人になってしまっている常連さんとか、逆に地元の人ではない雰囲気の人とか、ここに居るだけでも今日もしっかり世界は動いているなという印象を抱いたり。決してこの仕事だけで将来生きてゆくつもりはないものの、ここで感じられる事も活きてくる時が来るのかな、と前向きに考えながら仕事を続けます。



正午でベテランの加藤さんに引き継いでレジの裏で「お疲れさまでした」と声を掛けながら出て行こうとすると、


「ああ、鈴木さん。ちょっと待って、これあげる」


と何かを手渡しされました。それはどうやらコンビニの新商品の試供品らしく、バイトの人に漏れなく渡す事になっているようになっているようです。今回は『菓子パン』のようですが、あまり食べた事のない種類ですが、まあ今日食べてみるのもいいかなと思いました。加藤さんが「これあげる」と言った時の表情もまあ独特で、いかにも「なんかねぇ~」という微妙さが滲んでいました。『菓子パン』も好きな人は好きですが、嫌いな人は食べないですし。



帰宅して適当に家にあったものとそのパンを食べながら、ぼちぼち作業を始めようかなという頃、スマホがゆるやかに振動しました。メールだなと思って確認してみると、


『そうですね。確かに「フリースタイルっていうのが流行で」って雅仁に教えてもらった記憶があります。場合によったら『聖地』まで行ってみて、直接色んな人に尋ねて回るのも早いかもしれないですね』


という文面。<ああ、そういえば昨日そういう事をメールしたな>と思い出し、送り主である菅野くんに何か返事してみようと考えた時、ふと僕は思いました。


「こういう場合って、もしそこに行くとしたら着いて行った方がいいんだろうか?」


『聖地』まで行くとなると旅費なども馬鹿にならないですし、時間の都合を付けなければならなくなります。そもそも論だとひょんなことから人探しを手伝っているに過ぎない状況なので、自分の出来る範囲で手伝っていればもうそれだけで十分なのですが、菅野くんに会った時の始めの印象から抱いている「危さ」はどうも放っておくことは出来ない類で、まあそれを言ったら自分もしっかりしている方の人間ではないですけど、なるべく穏便に解決すればいいなと思っているのは確かです。僕はそこで一応菅野くんにこう確かめてみました。


『僕もそこに行った方がいいんでしょうか?』


ダイレクトに訊きすぎたかなと思う間もなく返信が来て、


『俺もさすがにそこまではお願いできないです。ただ、鈴木さんに出来ることでお願いがあります』


とありました。僕にできる事って何だろうなと思っていると続けて、


『俺がそっち行っている間とか、もしかしたら雅仁こっちに戻ってきたりする場合もあるんで、小林さんにもお願いしたんですけど、それらしき人をもしこっちで見掛けたらすぐ連絡くれませんか?』


というメッセージが届きました。なるほどそういう可能性もあります。入れ違いを憂慮している菅野くんですが、ただ僕の漠然とした感覚だとそういう事が起り得る可能性は低いなと思うのです。それでも念には念を入れていた方がこの場合は良いのかも知れません。


『分かりました。小林さんには既に連絡してるんですか?』


『いえ、まだです』


『じゃあ僕から連絡しておきます。実は昨日偶然会って、連絡先教えてもらってたんですよ』


『そうでしたか。じゃあよろしくお願いします』



その後こんなやり取りがあって、意図せず小林さんに連絡する用事が出来てしまいました。まあこの機会に昨日の夜に考えていた事とか、ついでに音楽ファイルを送ったりしてみるのもいいのかなと思い、文面を考えます。送るファイルとかを結構悩んでしまって、そこそこ時間が掛かってしまったもののメールを送信した頃には<なんか、ちょっと気晴らしがしたいな>という気分になっていました。公開から僅か数日で社会現象となっていると専らの噂のあのスマホゲームを起動しながら外に出てみます。



前日に小林さんと地元の知らない場所を歩いてみた経験がなんだか新鮮だったのもあり、僕もこの機会に自分もまだあんまり歩いたことのない道を歩いてみるのも刺激になるのかなと思いはじめていました。さっき小林さんへのメールにも書いたことですが、『自分が表現したい事』ももしかしたら日々の生活を意識して見たり感じたりする事から出てくるのかも知れないなと最終的に僕は思いました。ゲームに気を取られてしまうものの、相変わらず人の少ない道でいつもは意識しないこの町にある「何か」を感じ取れるような気もします。



勿論、音楽は僕にとって『格好良いもの』で、どちらかというと僕もまだ会った事のない「雅仁くん」が恐らくはそう感じたように文化の中心に自分も行ってみて、何かを感じてくれば音楽にも表れてくるのかなとも思うところがあります。というか…即物的にですが、作曲、編曲に必要な器材とかソフトとかも都会の方がすぐ手に入れられそうですし。


<まあそれでも情熱さえあれば、どこでもできる事なのかも知れないな…>


なんて思いながら青々とした空の下、遠目に陽炎が見えるような気がするアスファルトの上をちょっと不思議な気持ちで歩いていました。
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