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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

星の元に

「何で私がそんな事しなきゃいけないのよ」と誰かに言いたくなってくる事がある。誰かが要求してくるよりもわたしの方が要求したい位なのに、結局いつも外れくじを引いてそれが「元の鞘だ」と言わんばかりにいつもこう言いたくなる展開になっている。


いつのまにか『そういう星の元』に産まれた事になっている自分を時々恨めしく思う。肝心な時に頼りない先輩をフォローしても誰も褒めてくれない。もちろん「褒めて」なんて言ってないけど、それがあたり前になって、周囲にもそういう風に進めてゆくっていう暗黙の了解が出来あがってきてるのもなんとなく癪だ。


いつのまにか「仕事が好きな人」になっている。いつの間にか「任せられる存在」になっている。


<でも…でも…!!>


と内心で燻っている気持ちがあるのをいつも感じている。見ないようにする事も出来るけど、見ないでいるのも結構苦しい事もある。自分でも厭なんだけど、身近な人にはついつい愚痴ってしまって前の彼氏はそれが疎ましくなってきたとかそんな理由で…と今では一人振り返ったりしている。友達は「そんな薄情な人だったらどうせ続かなかったよ」と慰めてくれたけど、「じゃあどんな人なら続くの」って時々聞きたくなる。



都合の良い人を探してるんじゃない。でも受け止めてくれる人が居たらいい、ってそう思ってしまう事は間違ってはいないと思う。


「その辺はね、まあ妥協というかお互い様って事だよ」


「達観してるけどさ、そっちの相手はすごい理解あるじゃん。わたしにも優しいし…」


「あいつも外面がいいからねぇ。一緒に居ると気を遣わないけど、わたしもあいつも「面倒くさい」ってところは共通してるからねぇ」



友人の話は何となく分かる。まあこの友人自体がちょっと不真面目っていうか、肩の力が抜けてるから一緒に居て気が楽で自分もいつかそうなれたらいいなって思うけど、やっぱりわたしは自分の中の棘というか角張ったところが取れてないと感じる。



その日は10時を回ったところで近場の飲み屋さんを後にして、電車で帰るつもりだった。外は冷え込んでいて、町の明かりも少なくなってくる時間だと一層寒々として来る。そこから近くのコンビニに寄るつもりだったからそこで友人と別れる。


「まあ、たぶんなんか良い事あるよ。あたしゃ、あんたみたいに頑張ってる子好きだからさ」


「ん。ありがとう」



優しい言葉が身に沁みる。そういう事をすらっと言える辺りが同性から見ても好かれる要因なのは分ってるんだけど、器用にそういう事ができないんだなぁと改めて思う。秋の一時は祭りで賑やかになる商店街の道も、冬場はこう言うのもなんだけど何だかぎりぎり商売が成り立っているような、そんな静けさがある。今日は明日の仕事に支障が出ないようにもう少し一人で飲みたい気分だった。



そこだけ少し暖かな光に包まれているように見えるコンビニ。時間的にもうほとんど人は居ない。入店した時には店員さんも作業をしているらしかった。店内が暖かいのでついつい見回ってしまう。


<チューハイ…とハイボールどっちにしよう…>


なんてちょっと迷っていたけど、結局両方抱えてレジに持ってゆく。不在だったけど「おねがいしまーす」と言うと急いで駆け付けてくれた。そのまま恙なく清算し、特に何も感じないまま再び外へ。その寒さに「ふぅ」と息を吐きながら顔を上に向ける。


「星空ねぇ…」


この間降った雪はすっかり溶け、空には雲一つない。妙な具合に綺麗な星空が一瞬目に入った。「この中にわたしをわたしたらしめる星があるんだろうか」なんて愚痴めいた事を誰かに言いたくなったけど、人気がない場所ではそのテンションでいるのもなんだか疲れてしまう。



心の中で「誰か」に文句を言うようにして続いている自分は、本当に存在するんだろうか。何の為に存在するんだろうか。普段は特に何も感じない哲学めいた事が、今日はシリアスな響きになっている事に気付く。





何かを諦めるようにまた歩き出そうと思った時だった。一台の車が向こうの道路から入ってきて目の前の駐車場に停車した。少し不自然に薄着の男性が何か忙しなく車を降りて、コンビニの中に入ってくるように走ってきたと思ったらそこで突然立ち止まった。何か「しまった!!」というような表情でわたしの方というか、何処かを観ている。気になったので、


「どうしたんですか?」


と訊ねると男性は「はっ」とした表情で、


「あ…いや、財布わすれちゃったのに気付いたんです…恥ずかしながら」


「え…?…っぷ…すいません」


その慌ただしさもあったし少し酔っていたからかも知れない、失礼だと分っていたのに思わず吹き出してしまったわたし。


「あ、いや。こんなサザエさん的なボケをかましたので笑われても仕方ないっす」


男性は苦笑いしていたけれどだんだん堪えきれなくて自分でも吹き出してしまった。その笑顔が気持ちの良いものだったので、


「何を買うつもりだったんですか?」


と自然に訊ねていた。


「あ…その…買うっていうか…ライブのチケットなんですよ」


「え?ライブって、あああの端末を操作して取るやつですね」


「ええ、そうです」


「ちなみに何のライブに行くんですか?」


わたしは話の流れで聞いていたのだけれど男性はとても嬉しそうに、


「お姉さん、知ってますかね…フジファブリックっていうの」


「ああ、何となく名前は聞いたことありますよ」


「ファンクラブとか入ってなかったんですけど、さっきなんか取れちゃったら…急いで来て…で財布忘れたと…」


「へぇ…でも良かったですね。取れて。そういえばバンドでおススメの曲ってあります?」


今思うと自分でも大胆だったなと思う。もしかすると寂しさもあったかもしれない。でもその人はその時じっくりと考えてくれて、


「そうですねぇ。『星降る夜になったら』とか、気に入るんじゃないかなって思いますよ。じゃあ、俺また戻るんで」


「『星降る』…ですか。分かりました」


今日は何か「星」に関係ある事が多いなと思いながら「ありがとうございます」と言って私は帰路に就いた。男性はすぐ車で家に戻ったようだった。




歩いて家に帰宅して、すぐに暖房をつける。何だか飲む気分でもなくなってしまったけれど、そのまま眠るのも勿体ないような気がして先ほど男性から聞いた曲を探してみる事にした。ダウンロード用のアプリを起動して検索して、視聴してみる。その曲の出だしから何だかすごくいい感じに聴こえたのですぐに購入してみる。


「なんか…どこかで聞いたことのあるような、なんか不思議な感じ…」



歌詞を確かめながら聴いていると、まるでどこかに連れて行ってくれそうな気持ちになった。その後そのバンドについて色々調べてみて多分他の人と同じようにしんみりして、そして凄くなんというか…



その先を言葉にしないままわたしは窓辺に立って空を見上げた。こういう自分が続いている理由が何となく分ったようなそんな気がした。こんな星の下でも悪くないかなって。



で…後日、あの時会った男性に別の場所で再開して、ちょっといい感じになったという話はもしかしたら蛇足だろうか?
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二本松のこと、競馬のこと、これから手探りで何かを
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