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スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

デモデモ

『だってどうしようもないじゃん』

女々しいのかなんなのか分らない。そう言って潔く諦めているならいいのだが、どうしたって「でも」が続く。


『でも、わたしは諦めたくないんだよ』


夜、たまたまテレビを付けた時に放映されていたドラマのワンシーン。ちらっとネットで調べてみると夢と恋で思い悩んでいる等身大の女性像がウケているらしい。


<共感できるけど、共感できないかなぁ…>


そんな矛盾した思いを抱きながら視聴していると私も段々現実に毒されてきたかなと思ったり。まだ熱い気持ちとか十代の頃に輝いて見えたものに憧れ続ける部分もあるけど、どちらかというとそういう自分を無理矢理作っているように感じる時もある。あんまり一括りにはしたくないけど男なんて大体似たような事を考えていて、どこかで幻滅してしまうもの。期待しないからかえって魅力的に思えたりする部分を発見する事が、今の私らしさと言えばそうなのかも知れない。


『わたしは…』


「ん…」


そう言いつつ想い人に何かを伝えようとして言葉に詰まってしまう主人公にちょっと感情移入しかける私。ドラマとしては面白味に掛けるけど、私だったらここで言ってしまうかも知れない。甘さ控えめのチョコレートを少し齧って、紅茶で流し込んで静かに見守る。だけど思った通り、ここで相手の携帯が鳴って挫かれてしまう主人公。


「あーあ…」


期待外れでモヤモヤしている私にもタイミングよく届く一通のメール。『ごめん明日行けないかも』。よく遊びに行く友人からのキャンセル。もともとどうなるか分らなかったから、ダメかもなと思っていたけれど、やっぱりテンションは下がってしまう。



「あーあ…」



そのままテレビを消してしまう。しばらく無音の空間でスマホを弄ってみるけれど、どうにも発展がないのでこういう時は音楽が良いなと思った。最近流行りはじめているバンドのある曲が今日はしっくり来るような気がしたのでスピーカーに接続して流してみる。部屋に鳴り渡る爽快だけれどどこか熱を帯びたサウンドに合わせて自然と首が上下する。


<やっぱりいいな~。そういえばちょうどこの辺りに白鳥が飛来してるんだっけ>


洗練された都会のイケメンという雰囲気があるボーカルの低音と高音が心に沁みわたる。曲のテーマを考えながら彼がどんな気持ちで歌っているのか想像してみる。私みたいな子を勇気づけてくれるっていうか、一緒に羽ばたいてみようって誘いかけているっていうか…


「明日カラオケ行こっかなぁ…」


聞いているうちに私も思いっきり歌いたくなってきた。「よし」っと一人頷いて決意する。




翌日の朝、目が冴えるような気持ちで起き上がる。祈るように窓の外を見ると、それほど路面状態は悪くないという事が分って一安心。朝の時間にカラオケに行くつもりだったからちょっと心配だった。身支度を済ませコートを羽織り万全の態勢で出掛ける。



いつも行くカラオケ店。もしかしたら『田舎の唯一の娯楽』になりかけているかも知れないこの店は私の想い出の詰まった場所でもある。成人式とか、同窓会とかでも利用した。ついこの間、20になったばかりの子たちが成人式の後で盛り上がったのだろうなと微笑ましい気持ちで入店する。私が一番最初らしい事に若干気が引けてしまったけれど、怯まず笑顔が印象的な女の定員さんにコースや機種の要望を告げてゆく。


「今日寒いですよね」


機械を操作しながら何気なく話しかけてくれる定員さん。


「雪があんまり降らなかったから良かったですよ」


そう答えながら入室する伝票を受け取る。そのままスムーズに移動すると「ごゆっくりどうぞ」という気持ちのよい声が後ろから聞こえた。



気ままに一人で好きな曲を歌いながら<そういえば、最近あんまりヒトカラは来てなかったな>と思う。一人が嫌だというわけじゃなくて、そこまで歌いたいという気持ちが湧きあがって来ないというのもある。少し経って近くの部屋から聞こえてくる若い男の人の絶叫とか、あんな風に歌えたら気持ちいいんだろうなと思うけど、この頃ではしっとりとした雰囲気で聞いてて心地よい曲が好きなってきたのもあってなるべく綺麗に歌いたいなと思うようになっている。



選択するのはどちらかというと懐かしめの曲。でも当時から進んで聞いていたのではなくて、本当に後からすっと入って来るようになって聴き始めた曲。切なさとか、細やかな情緒を気持ちを込めて歌う事で聴いている人には確かに伝わってるんだろうなと思う。その代わり、その人がある程度成長しないと伝わらない事もあるんだと自分の経験で実感してしまう。



予約していたとある曲のテロップが出たところで私は一度目を瞑り、ここには居ないその誰かに届けるような気持ちでその人を思い浮かべる。



<届くわけなんかないのにね>



意味のない事だって分かってはいるけれど、でもそんな気持ちで歌う事は決して無意味ではないと思う…。昨日聞いたあの曲もそうだ。誰も聴いていないかも知れない、でも歌い続けたというその事が私を勇気づける。歌い終ると妙に満足感があった。



その日私は2時間歌い続けた。心地よい疲労感とわずかな不完全燃感に包まれ、ちょっとふわっとした気持ちで会計を済ませ店を出る。「またお越しくださいませ!」という元気な声に頷くように「ふふっ」と笑って外に出ると少しひんやりした空気で意識がはっきりする。でも空を見上げるとなんだかまた穏やかな気持ちになった。



笑っちゃうくらい晴れ晴れとした空だった。朝路面にあった雪はもう何処にもない。そしてその時一通のメールが届いて私は本当に笑ってしまった。


「まったく。『明日なら大丈夫って』昨日言ってくれれば…」


そのまま「良かったのに」と言いそうになった時、私は周囲を見渡した。「でも実はこうなっていた方が良かったのかも知れない」そんな風に感じられる今を大切にしようと思うのだった。
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二本松のこと、競馬のこと、これから手探りで何かを
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