FC2ブログ

スローペースで、二人で出来る事を模索しながら。二本松、競馬、などなど。

『心臓のゆくえ』

『苦しい…』
病に苦しんでいるのは百獣の王ライオンのアーサーであった。
病気になり、その鈍った手や足を地面に投げ出しながら、アーサーはただ臥せっていた。その衰えた風貌に、かつての王者の風格は少しも見当たらない。

八百万の獣たちに恐れられているアーサーであったが、彼にはたった一人だけ友と呼べる者がいた。
極めて狡猾な頭脳を持つ、狐のネストである。この物好きな友人に対して、かつて王者だった男は息も絶え絶え言葉を放つ。
『おい、物好きな狐よ。余に生き永らえてほしいと思っているのか?思っているのであればお前に一つ頼みがある。南に三里ほど進んだ所にある、無駄にごつい松の木は知っているか?』
『えぇ、まぁなんとなく分かりますがね。』
『…分かるか。ではそなたに命じる。そのごつい松の木の下に、こんもりした藪があるのだが、そこに余の好物の鹿が棲んでいる。余は今、そいつが喰いたくてたまらない。しかし、もはや追いかける体力も気力も尽きかけようとしている。』
『そりゃまぁ残念なことで。』
狐は終始、気の無い返事に終始している。
狡賢いネストはこの後、アーサーからどんな依頼が来るのか大方の予想をつけており、その面倒さに辟易しているのだ。
『おい、聞いているのか?狡狐。もし、お前がその気になってくれるのであれば、きっとあの鹿はお前の甘言に搦めとられて余の手元に飛び込んでくるであろう。よし、行くのだ。』

狡狐は早速出かけることにした。
『なんで俺がこんなことをしなければいかんのだ。王め、最後の晩餐のつもりか?』
ひとりごちながら王の棲家より南へ三里進むと、アーサーの言う通り大きな(王の言葉を借りると“無駄にゴツい”)松の気がそびえ立っていた。
『ここか。さて、この近くに“こんもりした藪”があるはずだが…、おぉあれか。首尾よく今回の標的もいるようだ。』

王と狡狐の恐ろしい計画をまだ知らない無邪気な鹿は、藪木立の和草の上で跳ねていた。
それから、正に“虎の威を借る狐”ならぬ“獅子の威を借る狐”を目視した哀れな被害者は、あくまでも狐ではなくネストの背後にある権力に敬意を払い、深々とお辞儀をした。
『こんにちは、ネストさん。』
『おぉ、ここにおられたか、ルイスさん。』
鹿の名はルイスといった。
『ルイスさん、今日はね、めでたい話をあなたに伝えにきたんですよ。』
『めでたい…話ですか?なんでしょう?』
『あなたもご存じの通り、百獣の王たるアーサーは私の大事な友人であるが、近頃病に臥せっており、ここだけの話であるが…お迎えもそう遠くない時期へと差し迫っている。そこで、誰が次の王になるのが最も良いのか、病と闘いながら常々腐心しておられる。』
『まさかそれほどまでに病状が進んでいたとは…。残念なことです。それで、王は次に誰をご指名なのですか?』
『そこなのですよ。王は本当に悩まれた。例えば、腕っぷしだけで考えるならば後継者と目される者たちはそれこそ吐いて捨てるほどいる。しかし、王たる者、その腕っぷしだけではその重責を全うすることはできない。例えば、イノシシは間抜であるし、熊はノロマときたものだ。豹は極めて気が短いし、虎は法螺吹きで孤立している。』

ルイスは答える。
『では、あなたがいるではないですか。王とも近い身分であり、頭も良い。』
『いやいや、私はただ狡賢いだけが取り柄の卑賤なる者に過ぎない。それと、一つ忠告しておくが、頭が良いことと賢いというのは、違うのですよ。まぁ、そんな話はさておき…実はですね、王はあなたこそが王にふさわしいとお考えなのです。』
『私ですか?ご冗談を。何故です?』
『王が申されるには、鹿の姿がまず誇らしい、とのことです。また、長寿である、とも。それに鹿の持つ角はあらゆる蛇類の恐れるところであり、木々に似ており、牛のそれとは訳が違う。これ以上に何を言う必要がありますか?もう王の承認は得ております。あなたは次世代の王です。いやいや、私は王にならなくても結構なのです。新王・ルイス様、あなたが正式に即位された際に、この私のことさえ思い出して頂ければそれで十分。このめでたいお話を最初に持ってきたのが他ならぬこのネストなのですからね。』
どうやら狐が言うには、次の王は鹿のルイスであるらしい。そのことを恩着せがましく述べると、あなたもアーサーの死に目に会えるよう、なるべく早く彼に会いに行った方が良い…と言い、そそくさと立ち去って行った。

純粋な鹿のルイスはこの作り話をすっかりと信じ込んでしまった。
のぼせ上ってしまったと言ってもいいだろう。
ルイスは一寸先に待っている恐ろしい企みが己を待っているとも知らずに、王の棲家へと足を運んだ。
『アーサー王、私をお呼びでしょうか。』
『おお、わが後継者ルイスよ。そなたが来るのを今や遅しと、首を長くして待っていたぞ。王という重責を引き継ぐに当たり、そなたに伝えなければならないことがある。もっと近くに来てはくれぬか?』

結果から言うと、ことは失敗に終わった。
後継者の件は確かに作り話であったが、王の病だけは事実である。
耳寄りな話が聞けると思い近寄った鹿に対し、王は闇雲に寝床から襲いかかったのだが、病の身が災いしたのか、爪の先で獲物の耳を千切っただけで終わってしまった。
ここで鹿はこの一連の話が全て仕組まれたことだと悟った。
すっかり肝を潰してしまった鹿は、傷を負いながらも戸口から森の中まで一目散に逃げ帰ってしまった。
物陰から見守っていた狐はため息をつくしかなかった。
困ったのは王である。
飢えと無念、両者同時に責められ、その唇を噛みつつ嘆いたが、もう一度狐に声をかけると鹿を捕える新たな策を考え出してくれと頼んだ。
『もうすっかり鹿は警戒を強めています。難しい言いつけですが、なんとかお力になりましょう。』
狐はその狡猾な頭脳から知恵を絞りだし、答えた。

狐は賢い犬さながらに、鹿の足跡を辿って行った。
悪知恵のありったけを絞り出しながら、道行く全ての者に『傷を負った鹿が逃げて行かなかったか?』と尋ね続けた。
かの者らも王の権力を笠に着た狐を恐れたため、総じて鹿の逃げた先を教えた。
その結果、遂にネストは走り疲れて木陰で一息入れている哀れな鹿のルイスを見つけた。
眉も額も厚顔無恥で出来ている狐の顔がそこにはあった。
戦慄が鹿の前身に走り、ルイスは怒りで心臓が煮えたぎらせながら言い放った。
『憎々しい狡狐め、これ以上近寄るな。この後も私を騙そうとするならば、お前を痛めつけてくれる。今回の後継者の話には、他の動物を推薦するがいい。私はもうあんな目に遭うのは沢山だ。』
しかし、ネストはへこたれずにこう言った。
『次世代の王よ、あなたはそんなに卑しく、怖がりだったのですか。そんなにも私を疑るのですか。アーサーはあなたに耳寄りな忠告をしようとして、これまでのあなたのボンヤリさを目覚ませようとして、耳に触っただけなのですよ。臨終の間際に臨む…それこそ父親のように。百獣の頂点という絶大な支配権を握った暁に、どのように己を守れば良いのか、要諦を残らずあなたの耳に入れようとしたのです。あなたは病に蝕まれたライオンの弱々しい手で耳をかすられただけで、少しも我慢ができなかった。無理に身を引き離したから、かえって怪我が大きくなってしまったのです。今はあなた以上に王がお怒りですよ。鹿など軽率で、全く信用できない。このままでは狼を王にするしかない、とのことです。ああ、ひどい主人になりますね。どうしましょう…。われわれ皆の不幸は、卑しく臆病な、あなたのせいです。さあ、いらっしゃい。これからは毅然として下さい。群れから離れた羊みたいにおどおどしないように。あらゆる木の葉と泉にかけて誓言しますが、私があなただけに仕えるようになることを望んでいるように、ライオンも何ら敵意はなく、好意からあなたを百獣の王にしようとしているのですよ。』

このようにネストはルイスを甘言で説きつけ、哀れな純粋者を先刻と同じ死の家に再び入って行かせた。王・アーサーはねぐらの奥に引きこもると、盛大なご馳走を独り占めした。肉にかぶりつき、骨の髄をすすり、その内臓まで余すことなく貪った。その間、獲物を連れて来た狡狐は、腹を空かせたまま突っ立ていたのだが、つい先ほどまでルイスのものであった心臓が落ちていたのをこっそり奪い、その場で飲み込んだ。これが今回の大いなる苦労の役得であった。

食中、ライオンは鹿の内臓を一つずつ数えてみたが、心臓だけがどうしても見当たらない。そのため、一面血の海になった寝床中を捜しまわった。しかし、それでも心臓だけが見当たらない。
すると、狡狐は真実をごまかしながら
『初めから無かったのです、探しても無駄だと思いますよ。有りもしない甘言に乗せられ、ライオンの家に二度も入ってきた奴にどんな心があったでしょうか。』と心の無い言葉を放った。
アーサーは最後にこう言い放ちながら狡狐にも襲いかかった。
『お前の方が十分心無い輩ではないか。』と。

~ イソップ物語 第336『ライオンと狐と鹿』より ~
スポンサーサイト

二本松舞台小説 Uターン 1日目

真夜中の東北自動車を二本松インターで下りた。
急なカーブで減速し料金所を抜けると、正面には国道4号線へ通じる上り坂が見える。左手にはデニーズの明かりが、地上の月みたいに辺りを照らしている。宇宙船が孤独な宇宙空間を進むように、車通りの少ない真夜中の磐越道を抜けた末に見るこの明かりは、3時間の運転で研ぎ澄まされた神経の刺を優しく抜き去ってくれる。
これは人の営みの明かりだ。
この町は僕がいない間も、こうして営みを続けている。
「なんもないところだね」と彼女は言う。
「何も無いがある」僕はお決まりの文句で返す。
インターを降りてすぐの交差点を右に曲がり、ちょっとした贅沢のお決まりとなっていた回転寿司屋や、以前はおもちゃ屋だったリサイクルショップを眺めながら車を走らせる。
「あれ、こんなところにコンビニあったんだ」
セブンイレブンに車を停める。僕がコーヒーを手に取ると、お茶のペットボトルを手にした彼女が右手を伸ばした。コーヒーを手渡すとそのままレジへと向かう。彼女の出したカードがピロンと鳴った。
「コーヒー、どうも」
「それ、ポイント3倍の商品だから、ポイント貯まるしね。カード持ってないでしょ?」
「うん」
「もったいない」
車に乗り込みエンジンをかける。
「これから何処行くの?」
「んー、ちょっと母校を眺めてから実家に向かう」
次の交差点を右に曲がり、高速沿いの道を走る。アップダウンの激しいこの道を、子供の頃は「ジェットコースターだ」なんて言ってはしゃいでいた。今はそんなふうには思えない。ただの退屈な一本道だ。
「急に、実家に帰るとか言い出したからびっくりしたよ」彼女は言う「私は何とか休み取れたけど、君は大丈夫だったの?」
「仕事? 仕事は辞めた」
「は?」
彼女の唖然とした空気が助手席から伝わる。車は母校へ向かう上り坂へと差し掛かった。腹の中に重い沈黙を詰め込んだコンパクトカーが、やけに軽いエンジン音だけを響かせながら、木々に囲まれた一本道を登っていく。
「一つ言っていい?」彼女がボソッと口を開く。
「なに?」
「私に、相談くらいしてよ。辛かったなら、言ってよ」
「ごめん」
車は山を登りきった。
山頂に似つかわしくない大きな建物がそこにそびえている。
手前のグラウンド付近の路肩に車を停めて、僕と彼女は車を降りた。さっき買ったコーヒーのプルタブを開け口に含む。下の奥にこびり付くような微かな酸味を含んだ苦味。
当然の事だがこの時間帯に校舎の電気はついていない。宿直の先生はいるのだろうが、恐らくここからは見えない職員室の辺りにいるのだろう。
「こんな山の上まで毎日通ったんだ」
「かなりきつかった」僕は校門の辺りまでとぼとぼと歩く「でもゲームやりたさに毎日走って帰ってたら、長距離の成績が飛躍的に伸びた」
「はぁ、意味わかんないよ」彼女はあきれる。
「この校門見るとさ」僕は校門から校舎の生徒用玄関を眺めた「GLAYのHOWEVERを思い出す。学校祭のテーマソングだったんだ」
学生服を着た僕が、玄関から駆け出してくる。
グラウンドの砂の混じった風の匂いと、運動部の喧騒。秋が近づくにつれどんどん高く、広くなっていく空と、それを赤く染める夕日。
学生服を着た僕は、何かに呼ばれたかのように立ち止まり、校舎を見返す。
いい事ばかりの学生時代ではなかった。
でも、今思うと全てが輝いていた。
HOWEVERが聞こえる。
「なぁ」僕は校舎を見つめながら、隣で退屈そうにしている彼女に呼びかける。
「なに?」
「結婚してくれ」
「は?」
「だめ?」
「・・・」
「だめなの?」
「ダメっていうか、なんでこのタイミング?」
「いや、色々思い出してたら、感情が高ぶってしまって」
「そういうノリで言っちゃう言葉なんだ」
「ごめん」
僕は踵を返し、道路沿いのガードレールから夜の町を眺めた。
この町は広い。こんな小高い山くらいじゃ全然見渡せないほどに広くて、僕も知らない事がまだまだたくさん隠れている。
「こっちに帰って、仕事を探そうと思う」僕はため息を吐くように言葉を繋ぎ、そして息を吸い込むと少しの決心の後に続ける「だから君には、これからの数日間で、この町を好きになって欲しい」
彼女もまた同じように夜の町を眺めている。
その表情は見えない。
しかし彼女は頷いているような気がした。

更新

[編集]


トップページを少し編集しました。主にスマホなどモバイル向けにこのページでこれまで更新した小説などを辿れれば
いいなと思いまして。そして、本日は前から名前が挙がっていたK君もここに短編を寄稿してくれたので是非読んでみてください。ただしグロ注意というのかスプラッタものなのでそういうのが苦手な人は気を付けてください。


[SL]


さて、今日は夕方頃に自宅からもSLが走る姿を見届ける事ができました。あいにくの雨で駅まではいかなかったのですが、
音はしっかりと響いて来てなんだかノスタルジックな気持ちになりました。さて、福島DC関連のイベントも実質的にはこ
れで最後になります。ここからは再びフィーチャーされる時を辛抱強く待たなければならないとは思いますが、スローペー
ス症候群の方針通り自分達のノリを大切に、出来る事から少しづつやってみようという気持ちになりました。そういう意味
ではK君の寄稿してくれたものも中学時代のネタから出来あがっているし、その辺りに何かヒントがあるのかも知れません。



SLについても言える事ですが『ノスタルジー』、『ノスタルジック』というのはいつも何となく思い浮かぶ言葉です。自分
の好きなアーティストであるフジファブリックもノスタルジーのようなものがありますし、O君が時々リツイートするファミ
コンやスーファミといった過去のゲームもなかなかどうして惹かれるものがあります。けれど新しい事を始めるにはそこにば
かり囚われてもいけない…難しいところです。


[ノスタルジーを越えて]


ただ、拙作の「ザ・クレジット」についても「イン・マイ・ポケット」についてもネタは過去にありますがそれだけでは当然
ないですし、当時の自分達がこのようなかたちで創作を出来ているとは思ってなかった気がするのです。そこから時代は変わ
り、大学時代ネットで自由に発表できる環境になると当時の「ノリ」をどこかで再現したいなという気持ちになり、WEBペ
ージ、ホームページでやりたいようにやっていましたが、そこから更に何年か経ってから『ネットだけ』ではないようにも活
動したくなってこのブログを立ち上げてから中学時代とも大学時代ともまた違った展開をみせ始めているのだと思えるのです。



変わる事もあり、変わらない事もある。前と違うのは『等身大』で動いているという事でしょうか。現実を前に挫折があり、
どうにもならないけれどどうにかしようとして、必ずしも狙ったやり方ではないように何となく前に進む。それは小説と比
べれば何処か歪でしっくりこない感じもありますが、そういう現実に生きているから書ける事もあるのだと思いたいところ
です。

イン・マイ・ポケット(※ホラーです)

 俺はライフルを抱え込みながらざらついた岩盤の上に座っている。
星の光さえ届かない古代遺跡の一角は真の闇に支配されている。数センチ先の自分の手足すら見えない闇の中では、自分が存在しているのかどうかさえもあやふやに感じてくる。力尽きここに座りこむまでに目にした数多の「惨劇」さえも、本当に見た事なのか曖昧だ。自分は夢の中にいるんじゃないか――そう信じ込みそうになった時、隣に座る助手の静香が恐怖でこわばった手で俺の腕を掴んだ。その痛みで俺はしばしの夢想への逃避から引き戻された。

 考古学者の俺は最近発見されたこの「ノビタニア遺跡」の調査に加わった。
しかしキャンプ初日の夜、俺は無残に散乱した人間――服装からおそらく案内役を買って出た現地ガイドと思われる――の死体を目の当たりにする事になる。それらの死体は全て頭部が打ち砕かれ、白と赤の混じった骨片が周囲に散らばっていた。そしてその腹部は腹腔内で爆弾が破裂したかのように引き裂かれている。
ただ事ではない危機を感じた俺は、ガイドの持っていた護身用のライフルを拾い上げると、静香ともう一人の研究員を連れて駈け出した。そして逃避の末にこのノビタニア遺跡に辿りつくと、その内部へと身をひそめたのだった。
その時点で俺はまだ、これが一種の野生動物による自然災害だと考えていた。肩から下げたライフルが心強い。

しかし二度目の惨劇はすぐそばに忍び寄っていた。
遺跡を前にして沸き起こった学者的な探究心に導かれ、遺跡の深部へ足を運んだ俺達だったが、背後から聞こえたその「声」によって、これが単純な野生の脅威ではないと思い知る事になる。

『らっしゃっしゃ』
 
異様な声に振り向くと、後ろを歩いていた研究員の男が消えていた。先ほど通った曲がり角の向こう側で、男の小さなうめき声と、何か複数の生き物が動き回るような音が聞こえる。俺はとっさにヘッドライトを消し、静香にもそれを無言で指示した。俺たちは闇の中に身を隠す。
『あまり暴れないでくれるかい?』その「何か」は確かに人語を話した。
「や、やめて……ああ、うあああああああぁああああぁぁぁ!」

 ズ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ !

 理性を束にして引き千切るような、耳障りな音が響いた。
 その音の正体はからない。ただそれは直接内臓に汚泥を浴びせかける様な、人が本能的に感じる嫌悪感の塊のような音だった。
 怪物が曲がり角の向こう側にいる。
目を逸らしたくなるような惨劇が起きているという事だけは、容易に想像できた。
俺たちは死に物狂いで暗闇の中を進んだ。
 そして疲れ果てて座り込み、今に至る。
 
俺はヘッドライトの照度を落としライフルの確認を行った。コルトM16自動小銃は映画などでよく見かけるが、実物を手にしたのはもちろん初めてだった。小口径で貫通性が高いため頭部になどの急所に直撃しない限り対象を即死させ難い、と何かの雑誌で読んだ気がする。弾丸が対象を突き抜けるため、運動エネルギーによる対象の内部破壊が起こり難いからなのだろうか。命中性を高めるためセレクターレバーを単発からバーストへと切り替える。
 隣で震える助手の静香に目をやると、彼女は下唇を噛みしめながら、目だけで周囲の様子を伺っていた。大学の研究室では透き通るような白い肌とウェーブの掛かった髪で煌びやかな色彩を放っている彼女だが、今その頬には泥がこびり付き、ゴムで束ねられた髪にはクモの巣が張り付いている。いつも感じるバラのような香水の匂いは、湿った土とすり潰された草とすっぱい汗の臭いにかき消されてしまっている。そんな彼女をヘッドライトで照らし続けるのは忍びなく、俺は照明を完全に切った。
辺りは闇に包まれる。
遺跡のところどころに作られた窓から月明かりが差し込み、それだけが唯一この世界の輪郭を浮かび上がらせている。
しかしそれは、歪に捻じ曲げられた世界のように感じられた。
「先生…」静香はか細い声で言う「私たち、助かりますよね? 大丈夫ですよね?」
「ああ…」俺はそう答えたが、そんな事俺が知るはずもない「とにかく、少し疲れも取れたろうから、歩こう。この遺跡を出てしばらく歩けば原住民の集落があるはずだ」
 原住民――その言葉を口にした時、俺は彼らの長老が言っていた言葉を思い出した。 
くれぐれも『G』には気をつけて下さい。
長老の発した『ジー』という単語の意味が理解できず、彼らの言語で「猛獣」や「毒蛇」などの類だと勝手に思い込んでいたが、それは誤りだったのだろうか。
とにかく進むしかない、と俺は立ち上がる。
静香もまた立ち上がろうとして、呟く。
「先生、私、死にたくない…」
 
その瞬間、何かがものすごい速さで俺の足元を掠め、続けざまに静香が悲鳴をあげた。

「せ、せんせいっ! いたいっ! 足が、あしが!」
 俺はヘッドライトを点灯させ彼女の足元を照らした。
 犬のような姿をした異形の獣が、彼女の足に喰らいついていた。
その獣の全体像は野犬に類似している。しかしその口には口内に収まりきらないほど長い――静香の足に食い込み赤く血に染まった――いくつもの牙があり、巨大な目は目じりが鋭く切り込まれたように尖っている。明らかに野犬などではない。
俺はライフルをその獣の額に向けて構え、引き金を引いた。
炸裂音と共に獣は数メートルほど弾き飛ばされた。
「大丈夫か?」
俺は尋ねるが、静香は足をおさえて唸っているだけだ。
右足ふくらはぎの肉が引きちぎられている。ズタズタに引き裂かれた内部の欽繊維が露出し鮮血でぬめったその傷口は、まるで熟れきったトマトを踏み潰したかのようだった。
「立てないよな」俺はライフルを肩に掛け、静香を強引に背負い上げた。いつまでもここに留まるわけにはいかない。怪物があの獣だけとは思えない。「走るぞ、しっかり掴まっていろよ」
 数歩進んだ時、急に静香の身体が重くなる。
 いや違う、何者かに引っ張られている。
「いやあああああ! やめて! やめてぇ!」
 叫び声を上げながら静香が背中からずり落ちた。
 俺は振り返り、静香の姿をヘッドライトで照らす。
 先ほどの獣が頭と眼球から液体を垂れ流しながらも、静香の足に喰らいつき彼女の身体を引きずっていた。
 ものすごい速さで静香の悲鳴が離れていく。
獣との間隔は約5m。俺の腕前では、この距離から獣を狙い打つ事はできない。静香に当たってしまう可能性が高い。
 そんなしばしの逡巡の合間に、獣が向かう先に大きな影が現れた。
ヘッドライトをその影に向けると、そいつを覆う闇が剥ぎ取られる。
 
異様な怪物がそこに立っていた。
 
大きさは1.2mくらいだろうか。丸い頭は身体と同じくらいの大きさがあり、見開かれた眼球は焦点が定まらないかのように虚空へと向けられている。大きく開かれた口には不揃いな歯が並び、ところどころに血のような赤いものがこびり付いている。寸胴な身体から短く太い手足が伸びていて、その球体のような形状の手で近くに駆け寄った獣の頭を撫でた。
『マッケン、ご苦労様』
 頭を撫でられたその獣は、喉から搾り出すようなしゃがれた声で鳴いた。
『それじゃあ、食事の時間にしようか』
 その怪物の視線が獣から静香の方に移った。
静香は痛みを堪えた表情で怪物の顔を見上げている。悲鳴を上げたいが、その悲鳴によって次の相手の行動がどう変わるのか判断がつかない。だから泣き叫びたい気持ちを必死に堪えている、そんな表情だ。
 しかしそれは俺も同じだ。ここでライフルを発砲する事で、次の瞬間この生き物の視線が自分に向けられる事を恐れていた。あの獣は銃弾が直撃したにもかかわらず生きている。目の前の全ての出来事が自分の常識の範疇を超越していた。
惨劇の幕が上がる。
苦痛と悲鳴とがドロドロに交じり合った地獄のような光景が眼前で繰り広げられようとも、俺はただ呆然と立ち尽くすことしか出来ないだろう。
俺たちは完全にこの怪物に支配されていた。

怪物は何処からともなく鎌のような形状の刃物を取り出すと、それを静香の下腹部に当て、動かした。静香の着ているシャツの裾とジーンズに切れ目が入る。鎌の先でその切り裂かれた布を取り除くと、白と黒の混じった下腹部が露になった。
 静香は恐怖の悲鳴を必死で堪えているようだった。
 彼女の視線は、俺の方に向けられている。
『たすけて』
 その目はそう訴えていた。
しかし怪物の持つ鎌の先が無慈悲に、まるでバターにバターナイフを刺し込むような自然な動作で、彼女の白い下腹部に吸い込まれた。
 表情が一瞬にして苦悶に歪み、抑えていた声が一気に弾けた。
「あ”あ“あ”あ”あ”あ”あ”あ”いだいぃ!」
 遺跡の中の彼女の悲鳴がこだまし、俺は身震いした。しかし怪物はその声に動じる素振りすら見せず、鎌の先を縦にスライドさせる。
 切れ目から赤い液体がこぼれだし、白い肌の上に線を描いて背後の地面へと流れた。
 悲鳴は鳴り止まない。
 肺の中の空気を絞りきり、むさぼるように空気を吸い込むと、押し下げられた横隔膜の圧力によって腹部の切れ目から血液がゴポゴポと溢れた。
怪物は満足そうに笑う。
活きのいい獲物に歓喜しているのだろうか。
怪物は一瞬の逡巡もなく、その球体のような手を鎌によって出来た腹部の裂け目に押し込んだ。
 静香の目が見開き、痛みと嫌悪感からか口から胃の内容物を吐きだした。
細い腕が必死に怪物の腕を掴み押し戻そうとするが、怪物は意にも介さない。
「やめてやめてや”め”でぇえええぎゃああああああ!」
最初は言葉の体をなしていた彼女の声も、途中から言葉の意味を成さない絶叫に変わった。棍棒で殴り殺される家畜は、こんな声で鳴くのかもしれない。
彼女の腹部から何かが引き出された。
紐状の何か――腸だ。
 怪物は彼女の腹部から引きずり出した小腸を眺めている。流れ出る血の赤と、小腸の表面に網目状に付着した脂肪の黄色がかった白が、生々しいほどに鮮明な色の対比を見せていた。弾力を確かめ、臭いをかぎ、満足そうに頷く。
 そしてそれを口に含んだ。

 ズ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ

 怪物は、彼女の小腸を啜り始めた。
 そして俺は先ほど聞いた音の正体を理解した。
 腹の切れ目から小腸を引きずり出し、表面に付着した脂肪の繊維をぶちぶちと引きちぎりながら、怪物は静香の臓物を貪り続ける。生臭さと、排泄物の入り混じった臭いが辺りに充満し、俺は吐き気を堪えるのに必死だった。
 こちらに向けられた彼女は完全に白目を剥いている。叫び声はもはや無く、口からは泡のような血がゴボゴボと溢れ、滴り落ちるだけだ。
今の彼女に意識はあるのだろうか。
切れ味の悪いナイフで脳をぼろぼろに切り刻むような、気の狂いそうな苦痛の時間が既に終わりを告げている事だけを、俺は願った。
 しかし、彼女の口がかすかに動く。
 た す け て
 そう言ったような気がした。
『マッケン、そろそろ食べてもいいよ』怪物が言う『苦痛は脳の味を調える最高の調味料だからね。とても美味しく仕上がっているはずだよ』
 待ちかねたというように獣が彼女に近寄り、彼女の頭をくわえ込んだ。
 彼女の顔はまだこちらを向いている。
 まるで破裂寸前の風船を押しつ潰すように、彼女の顔がひしゃげていき――
 
 ぐしゃっ

 あっけない音と共に、彼女の頭部は固ゆでの卵のように割れた。

叫びながら、俺はライフルを乱射していた。
もうたくさんだ。
こんな光景を見続ける事も、その矛先が自分に向かう恐怖にただ耐えるしかないこの状況も、今自分を取り巻く全てが嫌で、ぶち壊したい衝動が俺の指を動かした。
その音でこちらを向いた怪物と獣の身体に、鉛の弾丸が叩きつけられる。
ゴムのタイヤを鉄パイプで殴りつけるような鈍い音がした 
弾丸は数秒で底をつく。
俺は弾倉を交換するのももどかしく、怪物達に背を向けると走り出した。
暗い闇の中を、何度も身体を岩壁に打ちつけながら、死に物狂いで走る。
走りながら考えた。
生き延びるすべを考えた。
しかし思考は吐き出す熱い息と共に闇に流れだし、形をなさないまま消えていく。
視界の先に明かりが見えた。
その明かりを目指して、無意識に走り続けた。

俺は開けた空間に立っていた。

天井は無く、月明かりが辺りを照らしている。壁の立ち上がりから生えた数多の植物の葉が月の光を反射し、深緑と白の入り混じった幻想的な色合いを見せている。
一瞬、天国に迷い込んだのかと思った。
しかし冷静に辺りを見回すと、円形の壁に囲まれた空間である事に気付く。
古代ノビタニア文明が式典などで使用していた空間だろうか。
視線をあちこちに向けながらその空間を横切る。

そこで、不吉な姿を見た俺は足を止めた。

壁一面に描かれた古代ノビタニア文明の残した壁画。
そこにひときわ大きく描かれた人物は、巨大な頭を持ち、寸胴な身体と短い手足を持っていた。
あの怪物の姿そのままだ。怪物の隣には、あの野犬のような獣の姿もある。
あの怪物たちは、古代からこの地で生きてきたのだろうか。
そして古代ノビタニア文明は奴らを拝め、遺跡にその姿を刻み込んでいた。
俺は更に壁画を精査する。
そこにあの怪物から逃れる手がかりがあるような気がした。
よく見ると、怪物の腹部には半月型のポケットのようなものが書かれている。そしてそこには3種類の絵が書き込まれていた。
人の絵。
ヤギの絵。
そして、樹木の絵。

しばしの考察の後、その絵の意味に思い至った俺は、荒れ狂う夜の海原に小船一つで取り残されたような、決して抗う事の出来ない圧倒的な絶望を感じた。

おそらく、俺は奴から逃げ切れないだろう。
この絵が全てを物語っている。
古代ノビタニア文明では、人、ヤギ、樹木は世界の循環を表している。
つまりこの3者は「世界」の縮図なのだ。
そしてそれが、あの怪物の腹部のポケットの中に描かれている――

『そう、世界は僕のポケットの中』

 耳元でしゃがれた声に囁かれた。
 俺は振り向く。
 鎌を振り上げた怪物の姿が視界を埋める。
 俺は右手を伸ばした。
 その手は振り下ろされた鎌で切り落とされた。
 月明かりで血塗られた刃が輝いた。
 おれは――

【終】


今回「スローペース症候群」に寄稿させて頂きましたKです。管理人の二人とは中学時代からの友人です。
G(グロえもん)はH君が創作したキャラクターでして、自分とも深い縁のある忘れられない奴です。Gの話を書くにあたりそのキャラ設定を色々思い出してみましたが、その回想作業が懐古の念を呼び起こし、まるで古いアルバムのページをめくっているようなノスタルジックな気分になりました。
そして書き上げたのが、懐かしさも郷愁もへったくれも無いスプラッターなやつです。
こういう動きのあるB級ホラーみたいなものをどこまで書けるか、そういう実験的なノリで書きました。
普段はこんなの書きません。

幕田卓馬名義で駄文をつらつらと書います。
 気が向いたら、スローペース症候群のリンクから「ばからしきすばらしき日々」にお立ち寄り下さい。

今週の重賞(宝塚記念)

今週の重賞はGⅠ宝塚記念です。ゴールドシップの3連覇に期待していますが、この馬なので何か
ありそうな気がしてしまいます。外枠になりましたがあまり関係なさそう。宝塚記念の出走馬の
父を見ているとディープ、キンカメ、ハーツクライ、ステイゴールドともうお決まりの印象が
あります。そしてマイナー血統は実質、いません。スペシャルウィークをマイナーという勇気
はありませんし、アグネスタキオン、ゼンノロブロイについてもしかり。


紹介する馬がいないので本当に当てにならない予想をします。


展開の鍵を握るのはネオブラックダイヤと見ます。前走もGⅠで好走していて気持ち良く走らせ
れば前の方で粘っているかも知れません。ゴールドシップに関してもそれは言えますが、彼の
場合は展開どうこうではないと思います。ワンアンドオンリ―も実力があると思っていて、M
・デムーロがどのあたりの位置につけるかで着順も変わってきそう。無視できないのはデニム
アンドルビー、カレンミロティック。ヌーヴォレコルトは展開次第かなと考えていて、安定
していそうなのがラキシス。トーホージャッカルは今回は長期休養明けなので様子見です。



こんな感じで予想してゆくと本命ゴールドシップ、対抗ラキシス、穴ワンアンドオンリ―という
無難な予想。強いと思った馬が本当に強いのか確かめるレースのようにも思えますね。

グランプリの一つ

『グランプリ』と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?食べものとかキャラクターとかF1とかそれこそ限りなく何らかのグランプリがあるわけですが競馬ファンにとってはグランプリと言えば2つです。一つが年末の有馬記念、もう一つが上半期の総決算とも言われる宝塚記念です。基本的に事前に行われる人気投票で出走馬が決まりますが、宝塚記念については頭数割れの年も多く、去年は12頭立て、一昨年に至っては11頭立てと少しさびしい気もしますがゴールドシップが強かったお陰で良いレースという認識になっているようです。


去年の宝塚記念は連覇が懸かっていて私も不安でしたがそれを払しょくするような展開で圧勝でした。今年もメンバー的には勝つ公算が高いような気がします。


さて宝塚記念について話すとなるともうネタの宝庫なわけで、一つ一つのレースを回顧していってもいいわけですがやはり思い出深いのはサイレンススズカの1998年、と、次の年の杉本アナの「私の夢はサイレンススズカです」という台詞です。鉄板すぎるしちょっと涙が出てきそうにもなるのですが、じゃあそれ以外だと…と思うわけです。ヒシミラクルの『ミラクルおじさん』、スイープトウショウの牝馬制覇、テレビCMのタップダンスシチー、メイショウドトウの悲願の制覇などがありますが地味に思い出してしまうのは2008年のエイシンデピュティ。



内田騎手で逃げ切りのレースですが、なぜこのレースなのかと言えばエイシンで重馬場という条件、生涯成績なども色々考えさせられるという事もあります。が、もっとも印象に残ってしまったのはあまりにもウイニングポストのレースっぽかったからです。ウイニングポストは3と4と5を結構プレイしたのですが、そのシステムだと宝塚記念は不思議な展開のレースが多く、実力はあるのに5番人気くらいのGⅠ未勝利馬があっさり勝つような事がままあって、特に馬場が渋るとわけわかめだったりしたのを覚えています。そもそもエイシン=短距離~マイルという意識があったので中距離馬で活躍している馬では完全にノーマークで、このレースを制した後の成績は振るわなかったのもあり、妙にこの馬とこのレースが記憶に残ってしまったのです。調べてみるとエイシンデピュティは種牡馬としては頭数も恵まれませんが活躍も無いと言って良く、どれくらいの能力があったのかが自分の中では『謎』になってしまいます。



でも『苦労人がタイトルを掴んだ』という感じで捉えれば比較的納得できます。10勝もしているわけですから強い筈ですし、実は逃げ馬という意味でも結構貴重なのではないかとさえ思えてきます。ある意味で『エイシン』という冠名で印象付けられ過ぎてしまったのかも知れません。以後、2010年にはエイシンフラッシュがダービーを制し時代が変わったなと感じましたし今を時めくエイシンヒカリもディープインパクト産駒という過去の常識からいうと違うなと思えたりするのも冠名の為でしょう。



今年はエイシンからは出走馬がいないようですが、来年とかエイシンヒカリがもしかしてなどと想像したり。

雨上がり

20150623175716967.jpg

『雨上がりの草原』みたいな。光がまぶし過ぎてカーテンをしていますが、外に出ると涼しくて気持ちいいです。虹とかも出てるかも知れません。

上半期もそろそろ

今日も雑文で。まず二本松関連で福島DCの最後の方のイベントとして27日と28日に
SLふくしまDC号というのが走るそうです。私の家は駅が比較的近いので多分見えると
思います。写真を撮って公開したいと思います。


あと二本松関連の書籍として、O君も大いに紹介した「維新の肖像」という本が出ています。
地元のといっても安達の方のツタヤでサイン本があったりしていつかは買おうと思っている
のですが、朝河貫一氏についてはまだ勉強不足で積読がちょっと溜まっているので消化して
からじっくり読んでみたいと思います。


そして昨日は二本松で「ざくざく世界選手権」というイベントがありました。用事があって
行けなかったのですがツインウェイターや二本松少年隊もパフォーマンスをしたそうですね。
イベントが多くて参加するのが大変というのは嬉しい悲鳴ですが、DCが終わったらどうなるのか
ちょっと気になるところです。


[短編]


このスローペース症候群の方の話題としてはO君の書いた『燕のジョナサン』の反応が上々
なので悦ばしい限り。でも管理人Hとしては羨ましい限りでもあります。ちなみに「イソップ童
話シリーズで書いてみたい」とO君は意気込んでおりますのでこうご期待。


自分の書いたもので「ザ・クレジット」というのがありますが、これはK君らと一緒に中学
時代に考えた『グロえもん』というキャラクターが元になっています。そのネタでホラーもの
を書けたのは自分としても収穫になったと思います。あと考えたネタでは魔犬の『マッケン』
というのがあるのですが、自分でも設定を忘れてしまっています(笑)


スロペ(スローペース症候群の略)の方であと地味に面白かったのは先週の重賞出走マイナー
血統馬で紹介した馬が両方重賞を勝った事ですね。具体的にはティーハーフとノンコノユメで
すがマイナー血統で勝つと嬉しいですし、ティーハーフに至っては戦績も面白くて注目して
いたので昨日の圧倒的な強さには驚きました。



[個人的な事]


あとは個人的な事ですが、ようやく私生活の方で見通しが立ってきた感じです。やる事が決まっ
たのもあって、以前にも増して充実した一週間でした。この夏は福島競馬場に何回か行きたいし
、POGの事、そしてO君、K君両名と会えればまた何かしたいですし、ちょっとした目標も
できました。競馬好きにとっては今週の宝塚記念が終わったら上半期が終わりという気分なの
ですが、そろそろ切り替えていくのもいいのかなと思いました。


今日の写真は、遠く彼方まで見えるところからのショット。

20150622184334e51.jpg

『燕のジョナサン』

今からはるか昔。

鳥たちはただ人間たちから一方的に狩られる悲しき運命を背負っていた。
既に絶滅し、今を生きる人間からは既に忘却された種族も決して少なくはない。
忘却されたがゆえに、どういった鳥類の種族がかつて存在し絶滅の一途を辿っていったのか…ということさえも人間たちの間では語られることはない。加害者の側はすぐ忘れることが出来るのだろうが、被害を受ける側の傷はそう簡単に癒えはしない。

燕のジョナサンはそんな鳥類の歴史を長い間愁いていた。
しかし、どうすることも出来ずにただ悶々と鳥類、いや自分の種族の行く末を案じていた。
子孫繁栄の本能を持つのは、人間だけではない。

幸か不幸か、燕のジョナサンは他の鳥類よりも体は小さいが非常に優秀な頭脳を持っていた。
嘴の先からその身の末端までおよそ17センチであり、この全長は雀よりも一回り大きいとされているが、体重はその対比者(およそ25グラム)よりも軽い17グラム。悲しいかな、この体の軽さは渡り鳥の遺伝子が彼らを飛行することに特化させた結果であるといえる。

寄生木が育ち始める時、燕のジョナサンはそれが鳥類全体に危険を及ぼす可能性があることを考え、率先して鳥たちを残らず集めることにした。
『考えすぎか。杞憂に終われば良いのだが。』
そう考えたジョナサンであったが、やはり頭が良い分だけ色々と考えてしまう性質らしい。
やがて召集をかけていた鳥たちが次第に集まってきた。その中には鷹や鷲をはじめ、梟、烏、鳩、鶴、白鳥、インコ、鶏、そして先述の雀などが名を連ねている。全員が集まったことを見てとって、ジョナサンは
『みなさん、寄生木が我々に危険を及ぼす可能性があります。この寄生木を伐り倒すか、それが出来なければ、誠に不本意ではありますが人間たちの所へ助けを求めにいきたいと考えているのですがどうでしょうか?』
集まった鳥類の中から、梟が答えた。
『まったくもって不本意だ。なぜ我々の敵である人間どもに助けを請わなければならないのか?』
それに鶏が賛同する。
『梟の考えに同意である。百歩譲って人間どもに助けを求めに行ったとしてもだ…我々は彼らの鳥類狩りの対象となることは火を見るよりも明らかである。』
『そうだ、飛んで火にいる夏の虫とは正にこのことです。』
『益体もないことをいう奴だ。ジョナサンは、けしからん。そんなに言うのなら君が人間どもの所へ行けば良いのだ。』
最後に雀と鷹が答えた。
他の鳥類も同じ考えのようで、燕のジョナサンの考えを一笑に付した。

皆にそうまで言われジョナサンは困惑したが、鳥類の将来をかねてより危惧していた彼は自らが嘆願者となることにした。
『頼みに行ったところで人間たちにただ狩られるだけなのかもしれない。』
そういった危険性を考えたジョナサンであったが、事態は意外な結末を迎えることとなった。

人間たちの代表は、ハーパーという名を持っていた。
ジョナサンはハーパーに寄生木が鳥類に及ぼす危険を説明し、それに対して人間たちへ寄生木を伐り倒してくれるよう必死に懇願した。
ハーパーは答えた。
『ジョナサンといったな。君の勇気には恐れ入る。それに頭も良いようだ。君に協力しよう。』
『ありがとうございます、ミスター・ハーパー。これで鳥類も助かります。』
『勘違いしないでほしい、我々は鳥類を助けるとは言っていない。あくまでも君に対してだけ協力する。』
『それでは困ります、ミスター・ハーパー。私は鳥類の安全を願ってここまで来たのですから。』
『では問う。危険を顧みず我々のところへ嘆願に来た君に対して、他の鳥類は君に何をしてくれたのだ?』
ジョナサンはその問いに対して何も答えることができない。
同時に自分に対して浴びせられた罵詈雑言を思い返した。
その瞬間である。燕のジョナサンが何故か、自分の一族だけの安全を考え出したのは。
『確かにそうだ。私があれだけ忠告をしておきながら、誰も同意をしなかった。それどころか、嘆願にはどいつも同行しようともせず、ただ私を嘲笑の対象として見下していた奴らばかりではないか。』

ハーパーは言った。
『どうだね、他の鳥類は君に何をしてくれたのだ?』
『ミスター・ハーパー、あなたの仰る通りです。他の鳥類は私のことを、益体もない奴だと罵りました。他の鳥類は見捨ててくださってかまいません。ですが、私共燕一族の存続についてだけはご協力ください。我々は、将来雨が降ることをあなたがたへお伝えすることが出来ます。』

『燕が低く飛ぶと雨が降る』とはこの頃から言われるようになった。
今と違って天気予報など無い時代である。
長い間、人間たちが作物を育てる上で懸念されていた天候への悩み・不安がこれで解消されたことは言うまでもない。

ハーパーら人間はこの後寄生木を伐採し、人間と一つ屋根の下で暮らすことを許可した。
そして他の鳥類たちはハーパーらに悉く狩られることとなるのだが、燕の一族だけはその身と自由を保護され、人間たちの家の中でも安心して巣造りをすることになった。
その証拠に他の鳥類の子孫たちは今でも巣を屋内に造ることはない。

~ イソップ物語 第39『燕と鳥たち』より ~

今週の重賞

今週もGⅢが2つの週です。東京ではユニコーンS、北海道、函館では函館スプリントS。函館
という地名を聞くとまず競馬場と浮かんでしまうしなんとなれば新馬戦、夏というワードを加えて
もいいのですがとにかくもう今年もそんな季節です。まずユニコーンSからですが、流石に3歳
ダート重賞ではディープもハーツもステゴもいないので該当馬が沢山います。ゴールデンバローズ
、ノンコノユメ、タップザット、アキトクレッセントは有力で、個人的にダイワインパルスも
捨てがたい感じです。


・ゴールデンバローズは父Tapit(シアトルスルー系)母父Mayakovsky(シアトルスルー系)という
日本には馴染みのない血統の同系の配合。当然レイズアネイティブとシアトルスルーのインブリード
があります。ヒヤシンスS勝ちで、UAEダービー3着の実績はこの時期ではなかなかのものです。
人気になると思います。


・ノンコノユメは父トワイニング、母父アグネスタキオン。これもレイズアネイティブのインブリード
で栃栗毛というのが魅力ですね。前走オープン勝ちで全てのレースで最速上がりという脚をもって
います。鞍上が前走のような騎乗をみせればあっさり勝利もあるかも知れません。


・タップザットは父Tapit、母父Officer(多分インテント系)。インブリードが多く、ほぼ外国馬
のような血統ですがノーザンファームの生産馬。全日本2歳優駿で2着の実績と、ゴールデンバロ
ーズと供に出走したUAEダービーで5着で同父のゴールデンバローズと比べられそうな馬です。
見限るのはまだ早いかなという印象です。


・アキトクレッセントは父ウォーエンブレム、母父フレンチデピュティ。ミスプロのインブリードで
1400を3勝と言うのが何か怪しい感じで、前走1600を一番人気で3着しノンコノユメに負け
ています。とりあえずこのレースで挽回できるかですね。


・最後にダイワインパルス、父ヴァーミリアン、母父アフリート。ミスプロ系でインブリードが
多少濃いような気がしますがダートは血統的に走るでしょうね。500万下ですが前走圧勝
していて距離も同じなので面白いかも知れません。



またこのレースには吉田豊鞍上のイーデンホールが出走予定です。ゴールドアリュール産駒でここは
ベストな条件のような気がします。そして函館のスプリントSですがこのレースもサンデー系は少なめ
です。O君が過去にPOGで指名していたエーシントップ、ティーハーフ、あとサトノデプロマット
を紹介。


追記:ブチコも出走します!


・重賞は久々になるエーシントップは父Tale of the Cat(ストームバード系)母父Unbridled's Song
(ミスプロ系)でミスプロ、ノーザンダンサー、ボールドルーラーなどのインブリードがあります。
2歳の頃の勢いはGⅠまで手が届きそうな感じでしたが、その後もそこそこ走っていて流石に衰えた
印象がありますが逃げ馬でこういう舞台なら復活Vもあるかも知れません。


・ティーハーフは父ストーミングホーム、母父Green Desertでインブリード一杯(笑)。なべ底成長
の見本のような馬で、3歳時オープンを勝っていますが、2連勝でオープン復帰と言うよく分からない
戦績でしかも安定しているという。



・サトノデプロマットは〇地で父ブライアンズタイム母父サンデーサイレンスという凄い血統。しかも
ヘイルトゥリーズンの奇跡の血量という感心してしまう配合。言ってしまえば超良血ですが、ブライアンズ
タイムらしくかなり奥手。前走のタイムが優秀です。もしかして大物?

じめじめの

20150618154143b09.jpg

いつか撮ったような気がしますが、果てしない感じの道です。外はジメッとしていて梅雨の時期によくある湿った臭いがあって何となく懐かしくなります。相変わらず外を歩いている人は滅多にいないという。

くもりもあれば

20150617174125100.jpg

重くたちこめる雲ですが、外は涼しくてむしろいい感じ。雨は降るかも知れないし、降らないかも知れないなんていう空。
季節によって表情を変える場所で、この辺りは小学生の通学路になっています。

K君リクエスト 「ザ・クレジット4」

友人に真実を聞かされて思った事は、友人の祖父も、友人も、また地元の人の反応もどれも仕方のないものだという納得であった。友人の祖父が目撃したものの真偽は僕にも分らないけれど、それからの事はどうにも避けようのない事で友人があの日僕に話したのも無理からぬ事だったと僕自身も思う。


分らない事と言えば、その後の目撃談の方である。特に同僚から聞いた目撃した一人が失踪したという話は多分新聞などで調べても出てこない話だろうし、それこそ噂話なのかも知れないと思える。あくまで周辺的な話としてしか感じられなかった。



が、結果的にはその認識が元で僕の体験したことがあるのだろう。



正直言ってこの先を語る事は僕の正気を疑われるかも知れない。夢でも見ていたと思った方が実際は気が楽である。だが、その時の外界のディティールは確かに現実のそれで、夢とは明らかに区別されるものだった。だからこそ、現実にはあまりにも醜悪なそれを見てしまう事は現実にそういうものを認めるという事であり、僕はそれを思い出そうとする度に現実ではなかったと思いたくなる。






底冷えのする2月の事だった。その日仕事の残業が夜遅くまであってまだそういう事に慣れて居なかった為異様に頭が重くなってしまい、仕事が終わってもすっきりしないので少し冷たい外気にあたった方が良いのかも知れないと思った。そして近くの堤防、サイクリングロードの辺りを今思えば何の躊躇いもなく歩いていた。その時には既に僕の中で「G」の話は完結していたのである。


その時、堤防の下の方の河原に夜だというのに人影が見えた。月が出てなかったのでぼんやりと視認できる程度だったが、やや小柄なのが印象的だった。夜も遅いが<もしかして子供なのかも知れない>と思ってしまった。そう思うと一応確かめた方が良いと考えて、階段から下に降りる。その人影の方もこちらに気付いたのか、ゆっくり歩いてきているのが見えた。



だが、階段を降り、近づいてくる「それ」を見つめ続けると、「それ」は影として暗いのではなく身体が奇妙にも「青い」ためにそう見えるという事が分った。何かの見間違えかと思ったが、たまたまそこに弱々しくも電灯が立っていたため色ははっきりと青であるという事が分った。そして小学校低学年の子供くらいしかない身長は、既にして異様で、その手には何か棒の先端にキラリと光る刃がついたもの、鎌の様なものを持っていた。



それくらい見えてくると次第に恐怖が沸き起こってきて、意識にもあのアニメキャラクターが連想されてしまっていた。そんな筈はないのに、そういう「もの」が確かにそこに居る。だがアニメキャラクターと究極的に違うのは、何処を剥いているか分らないが大きく見開き血走っている目と、大きく開いたまま今にも何かに噛みつこうとしているような歯であった。



「G…」



僕は無意識にその呼び名を発していた。もう既に奇怪で非現実的な存在が目の前にいることは疑いようもなかった。その瞬間、友人の祖父の「本能が訴えてくる」という言葉が実感された。これが幻だとかそんなことよりも、「こいつ」に何をされるか分らない、ただそういう感情だけに支配されてしまう。



『らっしゃっしゃ』



そしてそいつは僕を見て悍ましい声を上げた。この世の生き物が発していいような声ではない。更に気味が悪いことにそいつは人語を発した。


『貴様は俺に何を望む?下等生物よ』



罵られている事は分ったが、理解が追い付かない。ただ茫然と、


「お前は、なんだ…」


と訊くのが精一杯だった。そいつは再び気味の悪い『らっしゃっしゃ』という嗤い声を上げた。


『貴様が何を望もうと俺は貴様の腸を喰らうだけだがな』



そいつの言葉は生理的嫌悪を催すものだった。そいつに腸を喰われる想像をして冷や汗が滝のように出てくる。脂汗かも知れない。とにかくその場を逃げ出したい気持ちで一杯なのに、足がすくんで動けない。と、そいつは持っていた鎌を思いっきり降り上げ、こちらに向けて薙いできた。すんでのところで躱したが、スーツの真ん中あたりが切れてしまっている。



最早判断している暇もなく本能的に逃げていた。階段を駆け上がる事で比較的歩みの遅いそいつに差をつけてあとは死に物狂いで逃げていた。


「Gだ、Gだ、Gだ」


逃げながら僕はそう連呼していた。今思えばまるで自分に言い聞かせているようでもあった。何とか人の居る駅に辿り着いた時には既にそいつの姿はなく、駅で着衣が乱れ息を切らしている僕を見て周囲の人は気味悪そうだった。一刻も早くそこを離れたい気持ちだったので、丁度出発時刻だった電車に駆け乗る。その後の記憶は曖昧で、とにかく家に辿り着いて同居していた両親に心配されたところで力尽き、眠って起きたら次の日の夕方だった。両親の話だと眠りながら大分うなされていたらしい。寝言で苦しそうに「Gが、Gが」と言っていたのが尋常ではない様子だったと後から聞いた。僕は数日間、休みを貰う事にした。




僕はあの日の事を大分経ってこうして振り返っている。無意識だったが電車に乗っていたときに混乱しながら友人にメールを送っていたらしい。


『Gはいた 本当だったんだ 見てしまった』


その返事が今届いて、


『そうか…』


とだけあった。自分でもあの夜の事は信じられない気持ちもある。けれど掻っ捌かれたスーツの真ん中を見ると最早あれが本当にあった事であることは疑いようがない。これはちょっと破れてそうなるものではない。けれど本当にあった事だとするなら、いまだに背筋が凍りつくような気持ちで、もうそれ以上考えられない。



そして僕は悟った。友人の祖父ではない後の目撃者が失踪したのは多分、もうあの場所に近づきたくなかったからではないだろうか。いやそれどころかあいつに関する記憶そのものも抹消したい、抹消しなければ神経が持たなかったからではないだろうか。周辺事態どころではない。むしろ友人の祖父が強靭な意志で今も精神を保っている方が奇跡なのではないかと思える。友人を介して友人の祖父からのアドバイスがあった。


『とにかく意志をしっかり持て。自分の今なすべき事を忘れるな』


だそうである。確かに僕にはこれからの人生がある。たとえ「あいつ」が本当に居ようがいまいが僕は僕の生活がある。多分、それが大切なことなのだろう。



とはいえ、あの堤防を通りがかる時、この世のものとは思えない声で醜悪な嗤い声が聞こえるような気がして今でもあの時と同じような冷や汗と脂汗が染み出してくるのは最早どうしようもない事なのだろう…



(おわり)

今週の重賞

春のGⅠシリーズも一旦小休止というところです。今週は東西でGⅢが一つずつあります。
東の方はフルゲートではないのにディープ産駒の多さが目立ち、西ではハーツ、ステゴ、
マンハッタンカフェ、ゼンノロブロイという眺めてみれば納得できる出走馬ですね。まず
東のエプソムカップから。フェスティヴタローは紹介できます。


・フェスティヴタローは父ローエングリン、母父マジックマイルズという渋い血統。ノーザ
ンダンサーの5×5で去年の成績は振るわなかったものの、前走オープンで人気薄ながら
2着に来て、これは逃げたのが良かったのでしょうか。今回はエイシンヒカリに逃げを譲る
となると…というところですね。


西のマーメイドSは牝馬のレース。キングヘイロー産駒のシャトーブランシュも出走予定。
面白いところでカノンという馬がマイナー血統ですね。


・カノンは父フォーティナイナーズサン(二代前がフォーティナイナー)母父メジロティターン。
アウトブリードで特に母がマイナー血統の見本のようなピアノレッスン。スタミナが豊富そう
な印象を受けます。見せ場はあるかも知れません。


どうしても数的な問題でサンデー系が多くなります。エイシンヒカリもディープ産駒ですが、
今回の左回りを鞍上とともにあっさりクリアできれば秋天なども狙えるかなと思います。
ちょっと応援したい。

遠くまで

201506111227224dd.jpg

まだ低いですね。風で棚引いている様子は動きが感じられて心地よかったです。

K君リクエスト 「ザ・クレジット3」

その会社の人とは以降その話をしていないのだが、その人を良く見ていると物知りで細かいところによく気が付くタイプだった。話を聞いた時こそ<じゃあ何故その話を貴方が知ってるんですか>と思ったけれど、多分だが彼も一度気になって調べた事があるのではないだろうか。そして彼なりに「深入りしてはいけない」という判断をしたのだろう。普段は別にあの事を気にしている素振りもない。


確かにそれは一つの答えだった。こうして普段通りの日常と仕事は続いているわけだし、無暗に追っていかなければ自然と処し方が身についてくる。タブー化するというのはある意味でそこから意識的に目を逸らす事で日々の生活に集中するという意味合いもあると思う。幸い会社が実家に近い場所だったので実家で一人悶々と考えるような事にはならず、ある意味でかなりバランスの取れる判断が出来ていた。当面集中する事に集中するという風に決めた、という事もある。


事態が変わってきたのはおよそ半年後の明けて新年となった頃である。その2ヶ月ほど前から中学時代の同窓会の案内が実家に届いていたのだが、そこそこ思い入れもあるし自分がどれだけやれているか周りに示したいという気持ちで参加を決定。実家からそれほど離れていない場所が会場で、恐らく成人式以来久しぶりに会った友人達が続々と集まってきた。


「やあ、元気だった?」


その中に、あの友人がいた。気さくに話しかけるのでこちらも思わず、


「やあ、久しぶり!」


という感じであまりあの話を思い浮かべないように、普通に接していた。だが、友人の方が就職先のあの場所のところになると、


「そうか…あそこになっちゃったか…大丈夫かな」


といわくありげな事を素直に表現した。会社の人が「タブー」と云うのとは対照的にこの友人はあまりそれを隠そうという気もないらしい。


「なんかそれ地元だとタブーなんだって」


それとなくこの場ではあまり話したくないという事を伝えるためにタブーという言葉を敢えて使う。すると彼は妙に明るい表情で、


「うん。そうだね、だからお爺ちゃんが」


と何かを言いかけた。突然出てきた「お爺ちゃん」という言葉が何を意味するのか分からず、「お爺ちゃんがどうしたの?」と訊きたくなった。ただ、会場内で会食をする時間になったので一旦場所を移動する。当時の先生を迎えたり、代表の挨拶があったりで会場は賑やかなムードになったが、僕だけは何となく上の空だったような気がする。会食の時間となって各々席を動き回りながら中学時代親しかった人と話したりしながら過ごし始める。僕も当然その友人意外にも話したい人が居たので、気になりつつも席を動いて沢山の人と喋っていた。


ところが次第に雰囲気が落ち着いてくると、元の席でゆっくり話をしましょうという感じになって必然的に友人の隣で話が始まった。


「さっきのお爺ちゃんっていうのは?」


どうしてもそれだけは訊いておきたかった。


「最初の目撃者だよ。実際にあった事件を目撃した人って事だね」


「え…それって」


僕は読んだ知識を思い出し始めた。確か『〇〇川事件』で目撃した人の証言から事件がセンセーショナルになったのだ。確かその後週刊誌にもインタヴューを受けている。その人が彼の祖父だというのだろうか?


「そうだよ」


まるで僕が考えている事を読んでいるかのように彼は肯定した。なんとなく不気味だった。


「当時20歳だったお爺ちゃんは今70くらい。事件の10年後父が生まれて、30年後俺が生まれた」


「計算は合ってるのか…」


「お爺ちゃんが『タブー』なのは小さい頃から知ってたよ」


と彼は知られざる過去を静かに、それでいて涼しい表情で語りはじめる。


「お爺ちゃんは狂っているのかでいえば、決してそうであるとは言えないと思う。まあ希望なのかも知れないけどね。少なくとも頑固で自分の見たものしか信じないタイプだったし、厳しい人だったよ。事件以降人間不信に陥ったというのか世間に対して絶望したというような事を言っていたけれど、それが本音だと思う」


「確かに、腫れ物に触るような扱いを受けていたんだったら…」


「父の方もあまり良い思いはしなかったようだけど、その後も続いた目撃談の事を聞いて「あり得る事だ」と思ったらしいね。だから別に家族の方は狂人扱いはしてないよ。君に話した時の辺りに、色々知りはじめた俺はお爺ちゃんに直接聞いてみたんだ」


「そしたら?」


僕は既に好奇心の虜になっていた。聞かない方が良いと理性は訴えるが、一方で知らないという事が罪のような気がしてしまうのだ。


「お爺ちゃんはまず俺にこう言ったよ。「信じる信じないは自分で決めろ」」



「自分で決める…」


すると友人は肩をすくめるようにして、


「まあ確かに信じれる人と信じれない人がいるよね。結果的には俺はどっちでもなかった。だから誰かの判断を仰ぎたかったのかも知れない」


と続けた。そして一旦こちらを窺うようにして、すまなそうな表情をした。


「そんな折だったよ。君と俺の実家の…つまりお爺ちゃんが住んでいる所の近くを歩いて、思わず噂話として君に話してしまったのは」


「そうだったのか…」


最初は不気味な様子だったけれど友人も友人で悩んでいてそうしたのだなと理解できると急に警戒心が解けていった。


「ただね…」


それでも何かが残っているかのように彼が言う。


「お爺ちゃんはこうも言ったよ。「見たものを信じなければ危険だと本能が訴えてくるような『何か』だ」って」


「つまり…?」


「もしそいつを見たら、本能の通りに行動しなければ危ないのかも知れない。幻覚だと疑っている暇もなく…」


それで「G」に関する話は一応終わった。友人とは取り敢えずメールアドレスを交換して、連絡を取れるようにしておいた。不思議な事ではあるが、知らない事が減ったからなのか逆に信じようという気持ちもほとんどなくなって、漠然と大丈夫だろうという気になってしまっていた。

夏も近づき

201506101706596ed.jpg

文字で伝えにくいという事は確かだと思ったので、ちょっと写真を使って。
天候が良くて、外は非常に暑いです。田んぼも青々として雰囲気は伝わるかも。

K君リクエスト 「ザ・クレジット2」

就活を愚痴るわけではないけれど、内定が一つ取れてしまうともう好んで厭な事を続ける気力もなくなり、残りの大学生活を存分に楽しもうという気持ちに切り替わった。不吉な場所という意識は現実的な感覚によって、実際的な判断によって段々と薄れていって、凡そ8か月ぼちぼちと準備をしながら単位だけは落とさないようにとか卒論のテーマをどうしようかなどと考えながら日々を過ごしていった。


無事大学を卒業して、慌ただしく新生活の切り替えが始まった。不慣れな事ばかりで最初はやってやるぞという気持ちと大丈夫かなという不安があったけれど、地元に近いという事もありそれほど戸惑いは感じなかった。ただ、友人との連絡が疎遠になったりでやや独りで何かをする時間が増えていったように思う。


そんな折である。住居近くの飲み屋で同僚と飲んでいた時、ついうっかりあの事件の事を口に出してしまったのが今思うと失敗だったのかも知れない。和やかな席だったからそういう話をする僕はその場では「やめろよ~」というようなちょっとした非難を浴びたのだが、場に居合わせた一人だけがその後も時々僕の方を窺うような表情をしていたのが気になった。


たまたまトイレで二人っきりになるとその人が静かな口調で僕に話しかけてきた。


「あの話さ、俺地元なんだけど、ここら辺ではダブーだよ…」


「え…?あぁ、やっぱり良くないですよね…」


「いや…」


と言って神妙な顔になって間があった。躊躇っているように何かを思いだしながら、


「その話をすると、実際に見てしまう奴がいるらしいんだよ」


「え?何をですか?」


「何をって、そりゃ…」


話の流れもあったが僕は嫌な予感がすると同時に、「G」という言葉が咄嗟に思い浮かんだ。


「G…」


つい呟いてしまうと、その人が驚愕の表情で僕を見た。まるで信じられないというような顔である。低くくぐもった声で彼は言う。


「それ、どこで聞いた?」


「え、昔友人に」


「…そうか。うん…」


まるでその「G」という呼び名を知っている事があり得ない事だと示しているような様子だった。


「どういう事なんですか…?」


そう言って彼に聞いた話はこうである。あの事件については地元ではほぼタブーになっているという事だがあの事件以後にもその話をしていた者の中に実際にそれらしき存在を目撃したという例があったそうである。ただ、それは話を信じやすい人がその気になってしまって錯覚してしまったのだろうと最初は誰もが思っていたそうである。だが、その目撃者の一人がその後『失踪』したという情報があった。更に不気味な事に最初に事件を目撃し発狂されたとされた人が、その直後にとある週刊誌に実名でインタビューを受けたのである。幻覚にしては生々しい描写だったため、即座に切り捨てるわけにもゆかず、だからと言って本気にするわけにもいかないので次第にタブーになって、自分からその話題を語る人は居なくなった。だからこそ僕が「G」という音を発した瞬間に、「何故それを知っているのか?」という疑問が生じたとその人は教えてくれた。


『G』というのは「グロい」というところから来ているらしく、週刊誌がやや扇動的にするために『グロえもん』という見出しをつけたところから始まっているそうだ。勿論、本家のアニメの方がそういう奇怪なものの風評被害というのかイメージダウンになるというので、多分だけれどあまり事を大きくしないでという要望があったのかも知れない、以後その話題は一切出てこなかった。だから地元では噂として隠語的に「G」として認識されているのだが、それすら知る人ぞ知るという隠語だという。


僕は一瞬背筋がぞわっとした。つまり最初にこの話を教えてくれた友人が「G」と発した瞬間に、実はそれは何かしら特別な事だったのである。僕は次第に友人の事が気になりはじめた。

POGの事など

一見すると地味に見えてしまう更新ですが、続けていたからこそ「今がある」と言える部分
もあるのではないかと思います。そうそう先日のPOGについて少し触れておきましょう。


[POG]

そもそもO君が地元(二本松)の飲み屋さんでPOGに毎年参加していて、K君が帰省した
去年の暮れにその飲み屋さんに3人で一緒に入ったのですが、雰囲気が良く店主の人柄も
良さそう…というか笑顔が印象的な人で、ついつい勢いで色々話してしまったのを思い出し
ます。で、その後O君を介してPOGに誘ってもらって先日(水曜の夜)またその店に
行ったのですが、O君の隣にいたのに話すよりもドラフトの方に集中していてちょっと独特
の雰囲気だったような気がします。


場の雰囲気に呑まれて指名馬が多少ぶれました。自分の相馬眼などまだ信用するわけにはいか
ない経験しかないので最終的には血統、良血を意識したかも知れません。POGに参加する
人の年代も結構幅広く、私達が大体最年少だったかも知れませんが、どこかしら歴戦の強者
感があって、前回優勝者がドゥラメンテを指名していた事に正直驚きました。そりゃあ圧勝
するよ、と言いたくなりましたが、今回のでもしかするとそういう馬を指名できる可能性も
0ではないわけで、ある意味で自分を試すようなゲームだなと思いました。


本当は地元でPOGに興味ある人をもっと引き入れたらいいのかも知れませんが、結構店も
一杯で、人数が多くなるとドラフトの時間も伸びるし丁度良い人数かも知れませんね。



まあPOGに限らずとも店は紹介すれば色々と面白いのかも知れないなと思いますが、そこは
O君と相談する事にします。



[雰囲気]


漠然と「雰囲気づくり」という事で何か書けないかと思いました。目に見えないものだからこそ
そういうものを述べるのは難しいですが、何かを始めるきっかけになるのも「雰囲気」だったり
する筈で、何でしょうねやっぱり若い人がそういうものを敏感に感じているのかもなと思ったり。

今週の重賞

ダービーも終わり、既に気持ちは来年のダービーへ…と言ってしまうと大げさと言うか
楽しみを味わいきっていませんが、個人的にO君と今年からPOGを始めたのでやはり
一つの区切りの後にあるような感じです。そんな中で鳴尾記念と安田記念があります。
GⅠシリーズでいうと今週が一区切りという事でもありますね。


鳴尾記念には非サンデー、非キンカメだと過去に紹介したエアソミュールしかいないで
す。という事で一言だけ述べると、結構良い馬が揃っています。過去にクラシックを賑
わせた馬が居て運が良ければこれから大舞台に出ていける馬もいるような気がします。


と安田記念の方に行きます。ここでは過去にまだ血統の方は紹介して無かったサトノギ
ャラントだけが該当馬です。出走馬を眺めているとディープインパクトの恐ろしさを感
じるレースですね、というかやはりマイルの方がいいのか?と疑ってしまいます。


・サトノギャラントは父シンボリクリスエス、『母』スティンガー、母父サンデーで、
ヘイルトゥリーズンの4×4があります。まあ良血と言って良く、シンボリクリスエス
にしてはかなり切れる脚を持っています。前走の上がりは強烈ですね。舞台的には
ここが最大のチャンスかも知れません。



さてPOGについて少し述べたので触れておくと、O君か私、HのどちらかでPOGの
様子や経過などをちょっとだけ述べていけたらいいなと思いました。ちなみにO君は
【非公式】吉田豊騎手を応援していますで結果などを更新するかも知れないので
興味のある方は是非。

こうすれば

二本松の事を書いていて、当初感じていた事は「厳しい現実」でしたが最近少しばかり様子
が変わっているようにも感じます。勿論それは自分が前向きになれたことも関係しています
が、明らかに内部の人で内輪だけだったのが、昨日のDC絡みのイベントで「外」を意識
して訪れる人が楽しめやすいように心配りがあったよう感じました。具体的には送迎バス
などです。


とこのブログは「二本松」の方に意識を向けているだけではなくO君、そしてK君と供に
何か自分達の事で出来る事がないかを意識しているとも言えるので、そこに少しばかり
集中してみて思いつくことを書くことも必要です。


実際にはツイッター上で既に親密というのか、以前スピスタ市で行われていたようなノリ
で色んな話が出来るので満足している部分はあるのですが、ほんの少しでも、或いはもう
少し可能な範囲で広げて行う空間のようなもの…まあ観客が居る試合のような感じで
ブログとして発信してゆく事も面白いかなと思っています。そこにリアクションがあれば
最高なのですが、過去の教訓を活かして負担にならない程度で、しかも気が向いたらくらい
の気持ちでやってゆくのが良いと思っています。



そこそこの距離感も大切だと思ったりします。「ノリ」が外からどう見えるかを気にし始め
るとキリがないだろうし、気にしないという事も出来ないでしょう。ちょっとした緊張感
の中で自分達の良いと思うものを出してゆく、それしかないなと。
プロフィール

二人の管理人

Author:二人の管理人
ブログには珍しく二人の管理人で更新してゆくブログです。

二本松のこと、競馬のこと、これから手探りで何かを
やってゆこうと思っています。




最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ただのカウンター
フリーエリア
投票
google+
プロフィール
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR